「腰痛の85%は原因不明」 病院で治らない腰痛を自分で治すための「三つのエクササイズ」
ニュートラルゾーン
私はこれらの動作を「エクササイズ」と称し、「筋トレ」とは呼んでいません。筋トレというと、どうしても筋肉がムキムキになるアウターマッスルを鍛えるトレーニングと考えてしまいがちです。 しかし、腹横筋も多裂筋もインナーマッスルです。これらの筋肉を鍛えるというよりも、あくまで本来備わっているはずの「モーターコントロール機能」を回復させるために、眠っている筋肉を呼び覚ますきっかけづくりの“ちょっとした運動”と捉えてください。きつい筋トレとしてイメージされやすいアウターマッスルを鍛えることを意識し、そればかり実践してしまうと、逆にインナーマッスルの活動の邪魔をして、しなやかなモーターコントロールを阻害する恐れがあります。 また腰痛対策としては、そもそも腰の関節に負荷をかけない姿勢、「ニュートラルゾーン」を保つことも大切です。椅子に座っている時、多くの人は疲れてくると猫背になりがちです。逆に、その姿勢を矯正しようと意識し過ぎると、いわゆる反り腰になってしまいます。猫背と反り腰の中間、体を横から見て、頭から腰が真っすぐになっているのが、まさに中間的なニュートラルゾーンです。この姿勢制御にも腹横筋と多裂筋は使われています。
スマホの持ち方
さらに、日常の何気ない動作に気を付けることでも、腰痛リスクは減らせます。腰痛の直接的要因ではないかもしれないものの、その蓄積によって腰痛を誘発したり、あるいは痛みを悪化させたりする間接的要因になる動作は極力避けるように心がけてください。 例えばスマートフォンを見る時、画面を目よりも下の高さに置き、見下ろしている人が多いと思います。これは、猫背や亀首と呼ばれる姿勢を招き、腰や首などに負担をかけるため、画面が目の高さに来るようにスマホをやや持ち上げ、ニュートラルゾーンを保つように気を付けてみる。 あるいは、洗顔の際に膝を少し曲げる。腰を90度近くに折り曲げて顔を洗うと、腰にかなりの負荷がかかるので、膝を曲げることで、腰を折り曲げる角度をできるだけ緩やかにしてあげるのです。