また懲りずに血税5兆円を…!? 国策「日の丸ジェット」の見果てぬ夢に「エリート官僚」たちが固執する「大ひんしゅくの理由」
歪んだエリート主義
20万部を超えるベストセラー『TPP亡国論』(2011年)を著した中野剛志・商務情報政策局消費・流通政策課長(1996年旧通産省、学者を経て2012年に経産省に復帰)ら「経済ナショナリズム」を声高に唱える官僚も現れ、2021年に「経済産業政策の新機軸」が発表されるに至り、ターゲティング派回帰の流れが決定的になった。 当時、官房総務課長として新機軸策定を主導した井上博男・資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長(1994年同)や多田明弘前次官(1986年同)らは「伝統的なターゲティング派による産業の保護・振興とも、政府の関与を狭める構造改革路線(フレームワーク派)とも違う、国益の追求をミッションとする第三の道だ」などと強調するが、目指すところは『官僚たちの夏』の世界と変わらない。根底には「目先の利益を追うばかりの愚かな民間経営者に代わって、エリート官僚が産業を仕切る方が日本経済を活性化できるとの歪んだ選民思想」(有力OB)が透けて見える。 官邸や永田町、マスコミまでも経産省発の「経済安保」や「脱炭素化」の主張に翻弄される中、本来は無謀な財政支出に歯止めをかける役割の財務省も、なすすべもない様子。血税が野放図に消費される無責任な産業政策が当面、続きそうだ。
週刊現代(講談社)