【米国株ウォッチ】通期の業績予測を上方修正したシスコ 株価は割高、割安それとも妥当か?
ネットワーク、セキュリティ、コラボレーション関連製品などを提供する米シスコシステムズ(ティッカーシンボル:CSCO)の株価は、年初来で約13%高となっている。 ■直近の決算動向 シスコが発表した第1四半期決算の収益は、事前に発表していた業績予想通りの138億ドル(約2兆1300億円)となり、前年同期比6%減となった。一方で、シスコの人工知能(AI)インフラへの投資と、前年同期比で20%増となった製品受注の伸びは、同社にとって大きな成果である。EPS(1株あたりの純利益)は当初の業績予想を上回る結果となった。GAAPベースのEPSは0.68ドル、非GAAPベースのEPSは0.91ドルで、堅調な売上総利益率と有利な税効果がその増加の主な要因となった。 シスコが併せて発表した第2四半期の業績見通しも堅調な内容だった。収益は137億5000万ドル(約2兆1234億円)から139億5000万ドル(約2兆1544億円)の範囲、非GAAPベースのEPSは0.89ドルから0.91ドルの範囲と予想されている。この数字は、最近同社が取り組んでいる戦略的な変化の結果、AIとセキュリティ関連の事業が大きな成長を遂げ、安定期に入るとの見通しを示している。 また、シスコは通期の業績見通しも引き上げた。収益は553億ドル(約8兆5388億円)から563億ドル(約8兆6932億円)の範囲へ、また、EPSも2.26ドルから2.38ドルの範囲へとそれぞれ上方修正された。 次に製品タイプ別の業績を見てみよう。セキュリティ関連製品の収益は前年同期と比べ倍増した一方、ネットワーク関連製品の収益は前年同期と比べ23%減少した。概して、製品販売による収益が9%減少した一方で、サービス販売による収益は6%増加しており、業界がサービス中心のソリューションにシフトしていることを浮き彫りにした。 シスコの製品販売は、ここ数四半期の間、顧客が抱える在庫が積み上がっていることなどから減速気味だ。さらに、顧客となるクラウドサービスのプロバイダーや通信事業者などの大手企業は、景気の先行き不透明感からネットワーク関連の設備投資を控えている。これとは別に、シスコは中小のネットワーク関連企業との競争にも直面しており、これも減速の一因と考えられる。 地域別では、米州とEMEA(欧州、中東、アフリカ)における収益は減少した一方で、APJC(アジア太平洋、日本、中国)における収益は緩やかに増加した。