『室井慎次』無線パートに隠された秘話とは?狙いとお約束があった
谷口:最初は収録方法などの質問にお答えするだけかと思ったら、それだけじゃすまなくて(笑)。日本のエンタメ史に名を刻む『踊る大捜査線』の世界に、いきなりお邪魔してよいのかと思ったし、本広監督がどんな人かもわからなかったので、もしもコミュニケーション不可能な方だったらどうしようとも考えました(笑)。でも、実写映画の中で声優を使うのは、経験としても面白い機会だなと。
本広:実は僕も最初はちょっと構えちゃったところはありましたが、僕は普段からいろんな方に演出を任せている。例えば今回も、真矢ミキさんが演じた沖田仁美のシーンの現場は助監督に任せて、東京で撮ってもらっているそのシーンを、僕は地方のロケ現場からリモートで確認していました。
谷口:それができるのは、最終的に誰が撮ってもコントロールできる自信があるからですよね。
捜索無線のシーンにはドラマがある
Q:収録はどのように進めたのでしょうか? 谷口:最初の打ち合わせで、撮影した画を見せていただいたり、今回の狙いなど大事なところを説明していただいたりしました。その上で脚本どおりに録られていた仮の捜索無線の音声データをいただき、改めてどういう形で録った方がよいのかを考え、セリフを組み立てなおし、その修正のやり取りを何度かさせてもらって、9月下旬にアフレコ収録を行いました。
本広:谷口監督が新たに書いた捜索無線のセリフは、雪崩が起きて要救助者が崖下に滑落した形跡があるみたいな、そこだけでもすごいドラマがあるし、女性の隊長がいるなど、無線員のキャラクターまで全部作っていただきました。僕らではそこまで考えられなかった。
谷口:どうしても無線の声は紛れちゃうものですが、筋道を考えて作っておかないと、そこから受ける+αが違うんですよ。 街中のざわざわした感じなら自由にお任せできますが、例えば病院の中の待合室のガヤなどを役者さんにいきなりやっていただくのは難しいから、そのセリフは自分で作っちゃう時があるんです。