職場の“繊細さん”は「ほめて伸ばす」がコツ ほめる達人が教える、心に響く「浮き輪言葉」とは
若い世代への指導をどうすればいいのか? どんな距離感で、どんな言葉をチョイスすればいいのかわからない……。そんなふうにZ世代とのコミュニケーションに悩むミドルエイジは多くいます。 ひとくちに「ほめる」といっても、そのそも「ほめる」とはどういうことなのか? そして、相手の心に本当に響くほめ方とは、どのようなものなのでしょうか? 企業向けに「ほめ方」の研修を多数行う、日本ほめる達人協会理事長の西村貴好さんに教えてもらいました。
【西村 貴好 Takayoshi Nishimura】 大学卒業後、大手不動産会社を経て 1993年に家業のホテル経営を継ぎ、専務取締役に就任。 人材定着率の低さに悩んだことをきっかけに、「ほめて伝える」効果に気付く。 2005年覆面調査会社「C’s」創業。ほめる仕組みで組織を活性化。 2010年「ほめ達!」検定をスタートさせ、2011年に日本ほめる達人協会を設立し理事長に就任。
ほめる前段階として、相手との関係性づくりを
「人はダメ出しをされると、ダメ出しされたところだけを直します。しかし、相手を認めてほめたうえでアドバイスをすると、ほめられていないところまで自分からよくしようとします。 そして、ほめ続けることでそういう自主性が継続するということが、我々の経験上、よくわかっています」 と、ほめるメリットを語るのは、日本ほめる達人協会理事長の西村貴好さんです。
Z世代は誰もが「繊細さん」なのか
具体的にZ世代にどのようにコミュニケーションをとり、どんな言葉をかけていけば、彼らの可能性やモチベーションを高めることができるのでしょうか。 その前に改めてZ世代について考えてみましょう。Z世代にはさまざまな定義があります。その中でも、上の世代と明らかに違うのは「デジタルネイティブ」であることです。 生まれたときからスマホに慣れ親しんできた彼らは、膨大な量の情報に囲まれているがゆえ、選びとることにも長けています。
西村「私の娘もZ世代ですが、彼女から『私たちの世代は全員、繊細さん(HSP=Highly Sensitive Person…生まれつき感受性が鋭く感覚が非常に敏感な性質)だと思ったほうがいい』と言われたことがあります。 すべてのZ世代がそうとは限りませんが、納得感はあります。なぜならたくさんの情報を浴びる中でネガティブな情報も大量に受け取っているのがZ世代です。その分、傷つきやすく繊細な部分があるでしょう。 また、自分が共感する一部分の情報だけに囲まれてしまいがちで、“広く浅く”興味領域をカバーする方向にいきづらいという側面もあるでしょう」