職場の“繊細さん”は「ほめて伸ばす」がコツ ほめる達人が教える、心に響く「浮き輪言葉」とは
自分と違う、相手の常識を面白がる
では、そんなZ世代を育成するうえで、どんなコミュニケーションがベストなのでしょうか。それは「やっぱりほめること」と西村さんは断言します。ただ、前提となるのは、相手を尊重する気持ちを持つことです。 西村「Z世代とその上の世代では、常識や考え方が大きく違います。それを相手が間違っている、こちらの常識に合わせろと主張するのではダメなんです。 Z世代の常識を面白がったり、それに学ぼうとしたりする姿勢が大切です」
西村さんが紹介してくれたユニークなエピソードがあります。 「9時10分前」というと、本来は8時50分を意味します。しかし、文字盤のあるアナログ時計ではなく、デジタル時計を見て育ったZ世代の中には、10分前という時計の針をイメージできず、「9時10分前とは、9時7分や9時8分などのこと」と誤解している人がいるというのです。 西村「それを常識がないと目くじらを立てるのではなく、『そういう発想があるんだね』と受け止める。なんなら面白がってみる。そんな心の余裕が、相手に届くほめ言葉になっていきます」 相手の常識を面白がる心の余裕が自分の中に持てるようになったら、相手のいいところを具体的に見つけてほめていきましょう。 ポイントは、ほめ言葉の中に「事実」が入っていること。事実を伝えることで、具体的に何がすごいのか、相手にぐっと伝わりやすくなります。 逆に事実が入っていないほめ言葉は、ただの「おべんちゃら」だと、西村さんは指摘します。 具体的な例を挙げながら、考えてみましょう。 ほめ言葉のポイント ・具体的な事実をほめる。事実は小さければ小さいほうが受け止めやすい。 例）「あなたの挨拶は気持ちがいいですね」 ・その事実が誰に対してどんな役に立っているのかを伝える。 例）「気持ちのいい挨拶をしてくれるので、こちらも明るい気持ちになれます」 ・第三者の声を使ってほめる 例）「◯◯さんもあなたの挨拶は気持ちいいと言っていましたよ」 ・（相手がこちらの言葉を受け止めてくれないときに）主観でほめきる 例）「少なくとも、私はあなたの挨拶は素敵だと思いますよ」 厳密にはほめ言葉ではありませんが、「頑張れ」という言い方にも工夫が必要です。 西村「頑張っているときに『頑張れ』と言われると、これ以上どう頑張ればいいの？という気分になります。 そういうときは、たとえ結果がうまく出ていなくても、『頑張っているね』という言葉に変えて伝えてみてください。相手は、今の頑張りを認めてもらえたと感じられることで、励ましや心強さを感じるはずです」
