昨季2勝から今季はシード争い 今季苦しんだ川崎春花は再起を誓う「この経験がよかったと思えるように」
2022年にツアー1年目の19歳で「日本女子プロゴルフ選手権」を制した川崎春花にとって、23年は苦しいシーズンだった。 川崎春花が仲良し”ダイヤモンド”世代とぶっちゃけトーク【動画】 メルセデスランキング(MR)上位50位以内に付与される翌年のシード権が決まる「大王製紙エリエールレディス」の開幕前、川崎はMR49位にいた。今大会の成績次第ではシード権圏外に押し出される可能性のある位置でシーズンの終盤を迎えていた――。 21年のプロテストに合格した川崎は、同年末のQTで62位。22年の序盤はレギュラーと下部のステップ・アップ・ツアーを掛け持ちから始まった。そして8月の下部「山陰ご縁むす美レディース」でプロ初優勝を遂げると、予選会を勝ち抜いて出場した「日本女子プロゴルフ選手権」でツアー初優勝。10月の「マスターズGCレディース」では2勝目を挙げ、MR15位に入った。 ツアー2年目の23年は、自身3戦目の「アクサレディスin宮崎」で優勝争いの末3位タイフィニッシュ。今年も活躍が期待されたが、その後は切れ味鋭いショットが影を潜め、予選通過と予選落ちを繰り返す。次のトップ10入りは、16戦後の「北海道meijiカップ」(3位タイ)だった。 「なんとなく(ショットが)悪くなっていって…。自分でもわからなくて、どうにもできなくなっていました」。夏場にはキャディから「アドレスで左肩が下がっている」というアドバイスを受けて復調したが、「試合が毎週続くとどんどんその意識も忘れて、それどころじゃなくなっていました」と毎週試合に出場できるフル参戦の難しさがあった。23年はトップ5入りが3回あったが、予選落ちは15回。その結果から“調整に苦戦した”ことが伺える。 シード入りをかけた「大王製紙――」前も3戦連続予選落ちに終わっており、決戦の地・松山に乗り込んでからも「ずっと緊張していました」と話す。その緊張を集中力に変えて臨んだ初日は、途中5連続バーディを奪うなど「65」をマークして2位発進。2日目も「70」で回り、首位と4打差の6位タイで決勝に進んだ。 3日目は悪天候による中止で54ホールの短縮競技となった。最終日、この順位をキープすればシード権確保の心配はなく、今季初優勝さえ狙える位置につけていた。 しかし、最終日の前半3つのボギーをたたいて大きく順位を落とした。他の選手の順位によってはシード権喪失の危機だったが、後半4バーディ(1ボギー)を奪って巻き返し、19位タイで締めくくる。MR48位でシード権を保持が決定した。 最終日の1日を振り返ると葛藤があったという。「前半は弱い自分が出てきちゃって、そこに全然勝てなくて…」とスコアを落としたが、後半に入り「キャディさんから『自分に勝った方がいいよ』といわれてそういう意識に変えたら少しはよくなりました」と、弱い自分に打ち勝って自分のゴルフができた。 MR48位という結果でツアー2年目のシーズンを終えた。「予選落ちが続いていた中で、最後の1戦どうなるかなと。最後はいいショットも打てるようになってきたから、そのなかで予選を通って、ぎりぎりシードに入れたのはよかったかな」としながらも「その反面、今年1年はいろいろ考えさせられました。このオフをいかに大切に、どう過ごすか考えていきたい。オフって思わずに過ごすかと思っています」と前を向く。 この12月から取り組みたいことの一つが「スイングが中後半端やから、自分のものに確立したい。自分でよかったときのスイングを見て、少しずつすり合わせる感じです」とスイングから見直していく。 フル参戦の経験から得たものもある。「ずっと試合が続くと(調子が悪くなったときに)自分がこうしたいと思ってもすぐにできない。しっかり課題を作って、次の試合ではなく、再来週までとか、先を見据えた調整の仕方を考えてもいいと思いましたし、夏場には腰が痛くなって体調管理もまだまだできていませんでした」。調整の仕方と体調管理の大切さを学んだ。 ツアー1年目の年間2勝からの“試練”ともいえる23年。「いつかこの経験があったからよかったんだって思える日が来るようにと思っています。それを早く自分の中でつかみたい」。自身の最終戦で見せた“自分に勝つ”という気持ちを掴んだのも一つの収穫である。 今季年間4勝を挙げた櫻井心那、国内メジャーを含む2勝を挙げた神谷そらは、同じ2003年度生まれ。尾関彩美悠、竹田麗央、佐藤心結らも含めたいわゆる“ダイヤモンド世代”と呼ばれる。世代で最初に優勝した牽引者・川崎はこのまま黙っていない。
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