藤井聡太七冠と羽生善治九段が甲子園球場で対局 「かっ飛ばせ」コールで盛り上がり
野球の聖地で、将棋の夢対決が実現だ。日本将棋連盟と阪神甲子園球場がともに100周年を迎えたことを記念し、羽生善治九段(54)と藤井聡太七冠(22)が兵庫県西宮市の甲子園球場で対局。後手の羽生九段が120手で勝利した。 1924年8月1日に開設された甲子園で、将棋の対局が行われるのは、48年10月24日の松田辰雄八段対大山康晴八段(当時、十五世名人)以来、76年ぶり2度目。公式戦の戦績では、藤井七冠の14勝3敗と大きく勝ち越している。将棋界の顔と通算タイトル獲得99期のレジェンドの注目の対局に、3800人のファンがスタンドに詰めかけた。 対局はバックネット裏最上段にある「貴賓室」で行われ、持ち時間各30分の非公式戦。振り駒の結果、先手番の藤井七冠がいつものようにお茶を一口飲み、飛車先の歩を進め、戦型は角換わりに。藤井七冠は端攻めで勝負をかけたが、羽生九段が緩急自在の指し回しで押し切った。 昨年6月に連盟の会長に就任した羽生九段は「甲子園は見て楽しむという形で、現場で参加するのは光栄なこと。将棋界も、さらにみなさまに楽しんでいただけるようにがんばっていきたい。甲子園でさまざまなドラマが生まれることを期待していきたい」とあいさつ。節目のタイトル100期に向けても「これをきっかけにして目指していければ」と気持ちを新たにした。 藤井七冠も「甲子園で対局するという貴重な経験をさせていただいた。この甲子園でこれからも数々の名試合が行われていくと思いますし、私自身もみなさんに楽しんでいただけるような将棋を指していきたい」と話した。 対局の様子は大型ビジョンで中継。三塁側内野席には特設ステージが設けられ、時折、小雨が降る中、谷川浩司十七世名人(62)、久保利明九段(49)らが阪神ファンとしても知られる棋士が大盤解説した。 最後に谷川名人が「両対局者にエールを送りませんか?」とファンに提案。手拍子で「かっとばせ、藤井!」「かっとばせ、羽生!」と3回コール。盛り上がる中、歴史的なイベントを締めくくった。