【相撲編集部が選ぶ夏場所12日目の一番】湘南乃海が敗れ、3敗グループにのみ込まれる。V争いは3敗4人、4敗7人の混戦に
現況を考えれば、琴櫻、大の里が可能性を多く持つ、とは言えるだろう
阿炎(押し出し)湘南乃海 単独トップを走っていた湘南乃海が、阿炎に敗れ、3敗グループにのみ込まれた。 前頭10枚目の湘南乃海にとっては、今場所初の三役戦。そして阿炎は過去の対戦成績も2戦2敗という難敵だ。おそらく、阿炎にとっては的が大きく、突いて出やすい相手なのだろう、過去の対戦では阿炎がモロ手突きからの押し出しで1勝、突いておいての引き落としで1勝している。 湘南乃海は基本的には受け相撲だが、今場所は立ち合いの一歩目は踏み込んでおり、そのあたりに期待がかかったが、立ち合いは互角だった(阿炎がモロ手突きでなく右カチ上げのような形で当たったのはちょっと意外だったが)。ここで攻め込んで阿炎に引かせる展開を作れれば、湘南乃海にも勝機が開けたかもしれないが、当たりが互角だったことで、ある程度勝負の展開は見えた。阿炎としては、この時点で「いつか引いてくる。そこをついていけば」という感じになったはず。実際そのとおりに、湘南乃海が引きを見せたところをついていってそのまま押し出した。 【相撲編集部が選ぶ夏場所12日目の一番】霧馬山が大関濃厚の10勝目! 朝乃山が2敗目、V争いは照ノ富士単独トップに 取組後の湘南乃海は、「あした切り替えて頑張ります。ありがとうございます。申し訳ないです」と、もう終わったかのようなコメントだったが、まだまだ星の上では並び。ここからは上位戦が続くことが予想されるが、自分から攻め切る気持ちで最後まで暴れてほしいものだ。 12日目を終わり、3敗は琴櫻、大の里、湘南乃海、新入幕の欧勝馬となった。4敗で続くのは7人。中には豊昇龍、阿炎、大栄翔が含まれている。 この大混戦に、14日目、千秋楽の取組は、前日の打ち出し後に組まれることが決まった。優勝争いの動向が読めないので、結果を見てから、できるだけ星のいい力士同士の直接対決を組んでいこうという狙いだろう。 ここからの対戦相手の予想は、琴櫻があす湘南乃海が決定、そのあとは阿炎、豊昇龍が有力。大の里はあす宇良が決定、そのあとは湘南乃海、阿炎が有力。湘南乃海はあす琴櫻が決定、そのあとは大の里、欧勝馬が有力。欧勝馬はあす若元春が決定、そのあとは現時点で考えれば、御嶽海か明生、湘南乃海が有力だが、優勝争いに残っていくようだと、阿炎に代わって14日目琴櫻、千秋楽大の里、という可能性も残す、というところか。 こうして、星次第で相手が変わってくるということになれば、やはり地力のある力士のほうが有利と見るのが自然で、現況を考えれば、琴櫻、大の里が可能性を多く持つ、とは言えるだろう。 琴櫻はこの日も足を痛めている若元春を相手にきわどい相撲となるなど、荒れた場所を大関として締めようという責任感からか、終盤にきて相撲内容がもう一つで、千秋楽までの星勘定という意味では、どちらかというと大の里のほうを買うが、ファンとしては、やはり期待するのは二人の優勝決定戦。本割での対戦が前半で終わっているだけに、ここでもうひと盛り上がり。そしてすっきりした決着を見たいものだ。 文=藤本泰祐
相撲編集部