グロッシーeコマースサミット:オーガニック コンテンツ と垂直統合型マーケティングの未来
垂直統合型マーケティングに価値はあるか
マーケティングチャネルの雑音を切り抜ける戦略に関するセッションで、マエサの最高ブランドおよびマーケティング責任者であるオシヤ・サブール氏は、すべてのマーケティングを社内で開発する利点について語った。 マエサは、ヘアケアブランドのクリスティンエスヘア(Kristin Ess Hair)、ヘアリテージ・バイ・ミンディ(Hairitage by Mindy)、フレグランスブランドのビーイングフレンチー(Being Frenshe)、ファインリー(Fine'ry)などを擁する美容インキュベーターだ。 「当社には、ブランド間で共有されているクリエイティブスタジオがある」と同氏は述べた。「クリエイティブスタジオは、すべてを行う社内エージェンシーだ。外部のエージェンシーは介入しない。これは本当に素晴らしいことで、そのおかげで迅速に行動し、仕事の質を高めることができる」という。 「クリエイティブスタジオの従業員のなかには、20~25年もの長期にわたって在籍している人もいる。そこには、今までの積み重ねでしか得られない、つまりお金では買えない本質的な直感が存在している。だから、何がうまくいくかがわかるのだ」。 グロッシーポッドキャストの4月のエピソードでは、グロッシーサミットで講演するシューズブランドのラルーデ(Larroudé)の創業者であるリカルド・ラルーデ氏が、垂直統合型マーケティングの価値について同様の考えを示した。 「当社には社内エージェンシーがある。ブラジルにいる9~10人のチームで、写真スタジオで画像を処理することに専念している」と同氏は述べた。 「米国で写真や動画を撮影したとしても、ブラジルに送って処理、編集してもらう。ラルーデが提供するすべてのコンテンツはブラジルで、靴を作っているビルと同じビルで作っている。これらが密接につながっているおかげで朝にデザインのアイデアが浮かぶと、昼過ぎに靴が完成し、午後に撮影して夜にはウェブサイトで予約販売ができる。こんなスピードで仕事をしてきたのだ」。 しかし、同じく4月に開催されたグロッシービューティーリーダーディナー(Glossy Beauty Leaders Dinner)で、独立系美容ブランドの創業者が社内にクリエイティブスタジオを設立するために投資すべきかどうかとほかの参加者に尋ねたところ、圧倒的に反対された。反対の理由は、主にフルタイムのクリエイティブチームを構築するために必要なコストによるものだった。 「それはケースバイケースで、一概にはいえない」と、サブール氏は述べた。「マエサの場合、プライベートラベルの会社としてスタートしたため、スタジオを持つことにした。現在も大規模なプライベートラベル事業を営んでいる。ある時期にはデザインと製造だけを手がけていた。そういう会社だった」。 「何年も経ち、自社ブランド事業が実際に発展するにしたがい、25年にわたって磨きをかけてきたプライベートラベルのスキルは大きな資産となった。当社のブランドの美学は我々が思い描いたもので、デザインはすべて我々のものだ。誰も奪うことはできない。これは、特に品揃えが退屈で革新性に欠けることが多いマスマーケットで競争上有利に働く」と話している。 [原文:Brands are refocusing on organic content] DANNY PARISI、JILL MANOFF(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:坂本凪沙)
編集部