「春闘」が毎年話題になっているけど、賃金上昇の実感がありません。中小企業には関係ないのでしょうか?
若い世代にはなじみが薄いかもしれませんが、毎年「春闘」が話題になります。春闘とは労働運動であり労働組合による経営者側への交渉のひとつですが、賃金が上昇したという実感がないという話も聞きます。そもそも春闘とはどのようなものなのか。また、中小企業には関係のないことなのか等、考えてみましょう。
「春闘」とは交渉手段のひとつ
まず、最初に「春闘」とは何かを確認してみましょう。 「春闘」とは、各労働組合や労働団体が賃金の引き上げを中心に各企業へ要望を提出し、団体交渉することを言います。「春闘」の歴史は古く、日本労働組合総連合会(以後、連合)では「春闘」の正式名称を「春季生活闘争」としており、今のような形で行われるようになったのは、1956(昭和31)年から始まりました。 「春闘」=賃上げ、というイメージが強いのですが、ボーナス等の一時金、労働時間の短縮や労働環境の改善、休暇制度等、働くことにまつわるさまざまな課題について、労使で交渉が行われます。 物価水準を上回る賃上げができるのかが評価のひとつのポイントになりますが、これが正解というものはありません。 基本的には労働組合や団体からの要求があり、企業側がどのように賃金の引き上げ等をするのか、という流れになります。
中小企業には影響はないのか?
中小企業の場合、組合組織もなければ団体で交渉するのは難しいことが多いでしょう。そのため、中小企業で働いている方の中には「自分に春闘は関係がないのでは?」と考えてしまうことはあるかもしれません。 とはいえ、連合によれば、日本の企業の99.7%が中小企業であり、働く人の7割が中小企業の従業員であるといわれています。経済成長のためには、大手企業と賃金や労働条件などの格差が開かないように、社会全体の水準を引き上げることや、少なくとも維持することが重要です。 そのため、「底上げ・底支え」をキーワードにしながら、大企業と中小企業の労働条件・労働環境の格差の是正に取り組んでいます。 実感がないかもしれませんが、まったく影響がないわけではないのです。 また、2024年の「春闘」のテーマは「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」です。必ずしも要求どおりの賃金の引き上げが行われるとは限られません。 中小企業を含めて労働者の賃貸の引き上げは、「春闘」以外でも動きが見られます。昨年10月には最低賃金の見直しが行われ、各都道府県単位で39円~47円の引き上げが行われています。