国連特使がシリア訪問「制裁の早期解除望ましい」 旧反体制派はイスラエルの攻撃を批判
シリアのアサド政権崩壊を受けて国連のペデルセン担当特使が15日に同国を訪れ、報道陣に「(アサド政権に科した)制裁は早期に解除されることが望ましい」と述べ、シリアの復興を経済面から支援すべきだとの考えを示した。ロイター通信によると、ペデルセン氏は旧反体制派を主導するイスラム過激派「シリア解放機構」(HTS)のジャウラニ氏と会談した。 シリアでは15日に学校も再開され、日常の生活が急ピッチで戻りつつある。 ジャウラニ氏は15日までに応じた地元メディアのインタビューで、アサド政権崩壊後にシリアを攻撃したイスラエルについて「地域の不当な緊張激化を招く」と述べて批判した。 イスラエル軍は軍事施設など350以上の標的を戦闘機などで爆撃した。イスラエルは第3次中東戦争(1967年)でゴラン高原を占領しており、設定された非武装地帯(DMZ)を越えてシリア領に入ったとも報じられた。 イスラエルのネタニヤフ首相は「アサド政権が残した兵器がイスラム過激派の手に渡るのを防ぐため」などと攻撃の目的を述べたが、ジャウラニ氏は「イスラエルの主張では最近の違反を正当化できない」と批判。また、「長年の戦闘でシリアは疲弊しており、現時点での優先事項は国の再建と安定だ」とし、戦火を交える気はないと述べた。 イスラエル軍はDMZを制圧したとも伝えられ、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などが非難している。 米NBCテレビ(電子版)は15日、シリア国内の少数民族クルド人について、ジャウラニ氏が「共に生きていく」と述べ、平等な権利を行使すべきだという考えを示したと報じた。(中東支局 佐藤貴生)