夏至のころに「食べておいたほうがいい」意外なものとは?ウナギじゃないんです【田野岡メソッド・二十四節気のかんたん養生】
冷たすぎるものを口から入れると「滞り」が増す理由
これから1年の後半に突入します。これから暑さをますます感じるようになると、氷やアイスクリームなどの冷たいものを口にする機会が増えると思いますが…おなかの消化機能(脾の機能)のことを考えると、氷は避けたい…ですね。 体温は体表で36~37℃、身体の中心部であれば+2℃ぐらい。いっぽう氷や冷たい物は0~5℃。その温度差は30℃もあります。新鮮な魚を氷締めする場合を考えると、魚が泳いでいた海水温は15~20℃ですので…魚の氷締めの2倍の温度差を脾の機能は受けてしまいます。夏の暑さに負けないように食べた物を消化する脾の機能ですが、冷たすぎるものが来ると、その脾の機能が冷え切って働きが悪くなって滞ってしまいます。 日本の夏は“暑い”ですが、梅雨の頃から“湿気”もあります。この湿と熱が一緒になった“湿熱(しつねつ)”は身体にとってとてもやっかいです。湿は温めて巡らせるのが良いのですが、熱と一緒にいる湿を温める…熱さをますます感じますね。こんな時、中医学は「身体を冷ますのではなく、熱を降ろす」と考えたりもします。 熱は身体の中で上の方に偏るので、下の方に降ろすことで身体への負担を少なくする…というイメージです。その働きをしてくれるおススメは「貝殻」です。あさり、しじみ、牡蠣などですね。貝殻ある状態で調理をすると貝殻成分を身体に取り込むことが出来ます。あさり、しじみのお味噌汁はとても良いですね。 牡蠣の殻は粉にして生薬として使用します。貝の殻の成分を摂れるレシピが良いので、たとえばムール貝をパエリアに入れるのも良いですね。あさりのリゾットなどもおススメです。 この時期の旬の魚でいうと“ひらめ”がおススメです。ひらめの効能を見ると、おなかの機能を補って助けてくれる「補中(ほちゅう)」と、身体の気を増してくれる「益気(えっき)」で、消化機能を担う“脾胃”に働きかけてくれます。この時期の釣り船はひらめ釣りが多くなりますが、「おなかをますます大切にしてね」と自然から“旬”という形でのメッセージなのかな…とも思ったりします。 夏至が終わりました。次回は小暑、大暑、夏の本番ですね。
再春館製薬所 田野岡亮太