乗用車感覚「自分で引っ越し」のレンタカー需要も 普通免許で運転できるいすゞのトラック
いすゞ自動車は5日、AT(オートマチック)限定の普通免許でも運転できる小型トラック「ELFmio(エルフミオ)」の報道関係者向け試乗会を開催した。「だれでもトラック」と打ち出しており、乗用車とほぼ同じ感覚で運転できることをアピール。レンタカー向けに8社から50台程度の受注があり、今後も増えるとみているという。慢性的な人手不足で輸送力が低下する物流の「2024年問題」の対策を視野に入れたエルフミオだが、学生らが借りて引っ越しに使うなど、レンタカー向けの需要も大きそうだ。 【写真】いすゞ自動車のエルフミオの運転席 ■見晴らしがいい座席 軽トラ以外のトラックの運転は初めてとなる試乗に臨んだ。持ち手を握り、ステップに足を掛けて運転席に昇ると、当然だが座席はスポーツタイプ多目的車(SUV)とは比較にならないほど高い位置にあり、見晴らしがいい。ガラス面が大きく、視界は良好だ。 イグニッションキーを回してエンジンをスタートし、ハンドブレーキを下げると、乗用車と同じようにゆっくりと動き出す。いずれも、新車の乗用車ではボタン式がほとんどになっており、かえって新鮮だ。 振動や、道路の起伏による突き上げは乗用車より大きいが、これは運転席の下にエンジンがあり、そのさらに下は前輪だからだ。荷台に重い荷物を積むと、軽減される場合があるという。ボンネットがないので前方の見切りはしやすい。サイドミラーも大きく、安心感につながった。もっとも、前方の下部は死角になるので発進前などは専用のミラーでの確認が必要だ。幸いなことに発動しなかったが、衝突回避の「プリクラッシュブレーキ」などの先進安全機能も標準装備している。 免許制度が変わる前の2007年6月1日以前に取得した人は、実は普通免許で車両総重量8トン未満までの中型トラックの運転も可能だ。同2日以降に免許を取得した人は5トン未満まで運転できる。さらに17年3月12日に制度が変わり、これ以降に取った人は3・5トン未満までしか運転できないことになる。 記者は1997年に免許を取得したため、法的には中型も運転可能だが、とてもできる気がしない。いすゞが3・5トン未満のエルフミオに「普通免許で運転できる」と一種の〝お墨付き〟を与えている意味は大きく、レンタカーで使おうとする人に対しても「運転してみようか」と心理的なハードルを下げる効果がありそうだ。実際、試乗では乗用車感覚で運転できる車だと感じた。いすゞは「トラックの運転は難しいというイメージを払拭したい」(南真介社長)として、俳優の本田翼さんがドライバー役を演じるテレビCMを放映している。