<男子バレーボール>南部新監督で全日本男子は蘇るか
辞任したゼネラルマネージャーの代理で記者会見に出席した全日本強化事業本部、次期強化委員長の小田勝美は語る。「自主性を重んじるというのは、言い換えれば無責任。現代の日本の選手はそういう訓練を受けていないから、いきなり“意見を言え”と言われても、ゲーリー氏の方針に戸惑った選手も多いと思います。その点、南部監督は厳しくするべきときは厳しく指導し、選手の意見を聞く耳も持っている。選手をやる気にさせるのがうまい監督です。女子サッカーなど、ほかの競技の代表監督を見ていても、今はそういう監督が求められているんじゃないかと思いますね」。人心掌握に優れた人物だという評価である。 南部監督は、現役時代は守備を得意とし、職人好みのする技巧派のサイドアタッカー。パナソニックの前身である松下電器でレギュラーとして活躍した。全日本にも選ばれた経験がある。2007年、パナソニック・パンサーズの監督に就任してからは清水邦広、福澤達哉の2枚看板を武器にVプレミアリーグ、黒鷲旗全日本選抜大会、全日本選手権の三冠に二度、導いた。ただし、代表監督となると、その力は正直、わからない。強化委員会が推薦した5名の新監督候補の中からVプレミアリーグでの成績、そして海外遠征や海外合宿を積極的に行ってきた等の実績、過去の監督公募にも立候補していたその熱意を買われ新監督に選ばれた。 南部監督自身は瀬戸際の男子バレーをどう立て直そうと考えているのだろうか。「昨年、外から全日本を見ていて感じたのは、選手のモチベーションが果たして試合で戦える状況にあったのかということでした。正直、“今日も負けるんじゃないか”と不安を抱えてプレーしているように見えました。選手というのは一旦、コートに立てば絶対に手は抜きません。だから、そう見えていたのは選手のせいではない。選手をそういうモチベーションで試合に臨ませてしまった側の責任です」。 選手が自信を持って試合に臨めるよう、まずは自分たちの技術を磨くことが大事だと南部監督は話す。「サイドアウトと呼ばれる、相手にサーブ権がある状態での得点力をアップするのが第一の目標です。それには、サービスエースを取られないこと。そしてアタッカーが一度で決めようとせず、ブロックに当てて何度でも態勢を立て直して攻撃すること。海外遠征を計画していますが、対外試合を積んで実戦の中で、そういったスパイクの技術を磨いていきたい」。