<男子バレーボール>南部新監督で全日本男子は蘇るか
「今、男子バレーは負ければ“ああ、やっぱり”と思われて、勝てば驚かれる、その程度の(世間の)評価だということはわかっています。でも、それは自分たちが出してきた結果の答え。ある意味、仕方ないと思う」。5月13日、10日後に開幕するワールドリーグ出場を目前に控えた全日本男子バレーボールチームが、味の素ナショナルトレーニングセンターで記者会見を行った。その一室、記者に囲まれた輪の中心で、新しく全日本の主将に任命された越川優がこう切り出した。 「もう一度、アジアトップに返り咲いて、世界と戦える男子バレーになりたい。見ている人に“何か期待できるな”と、ワクワクしてもらいたい」。越川の言葉は切実だ。全日本男子は昨年、代表としては初めてとなる外国人監督、ゲーリー・サトウ氏を迎え、世界標準の戦術や技術論を取り入れた、長期スパンでの代表強化に着手した。「スマートバレーボール」と監督自らが名付けた、選手の自主性を重んじ、対話を重視したチーム作りは話題にもなり、その動向に世論は大いに期待した。選手自身も生き生きと取り組んでいるように見えた。 しかしゲーリージャパンは9月に行われた世界選手権アジア最終予選で若手中心の韓国に惨敗し、14大会連続で出場を続けていた世界選手権への出場権を逃す。その後、11月のグランドチャンピオンズカップは1セットしか奪えない5戦全敗で終える。それでも大会終了時には「引き続きゲーリー監督に任せる。長い目で見てほしい」と強化事業本部ゼネラルマネージャーは続投を示唆していた。ところが、その方針が年明けに一転。今年2月、突然、ゲーリー監督の解任を発表する。同時に当時、Vプレミアリーグ、パナソニック・パンサーズで指揮をとっていた南部正司監督を全日本の新監督に迎えると発表。リオデジャネイロ五輪への出場を目指し意気揚々と船出したゲーリージャパンは、たった1年にして消滅する結果となった。 冒頭の越川のコメントは、バレーボールファンや世間の失望を察しての言葉かもしれない。「僕自身は昨年1年間で得たものはとても大きいと思っています。ただ結果を出すまでの段階に至っていなかった、間に合わなかったという感覚でした。チームが自信を失っているように見えたとしたら、それは各大会自体の結果に対して自信をなくしていたのではなくて、不安を抱えながら試合をしていたせいではないでしょうか」(越川)。