【中日新聞杯回顧】中盤で緩まないデシエルトの理想的な逃げ切りV “伝説のダービー組”が力みせつける
未来に語り継ぐ伝説のダービー組
先週、チャンピオンズCを制したレモンポップがいる6歳世代はソウルラッシュなどGⅠで躍動しているが、これを上回るのがドウデュースを筆頭とするの5歳世代。金杯から12/1までの間でJRA重賞は28勝。GⅠはドウデュース2勝、マッドクール、ブローザホーン、スタニングローズの5勝をあげている。ひとつ下の4歳はJRA重賞21勝(障害除く)、GⅠはベラジオオペラ、ルガルの2勝で、5、6歳世代の壁が厚い。 【阪神ジュベナイルフィリーズ2024 推奨馬】前走は二冠牝馬に匹敵!勝率50%データ該当で盤石 メイデイレディも解説(SPAIA) 有馬記念も主役はぶっちぎりでドウデュース。5歳世代を代表するダービー馬だ。昨年は同世代のイクイノックスが世界一に選ばれた。この2頭がしのぎを削った日本ダービーは前後半1200m1:10.6-1:11.3とラップ差が少ない底力勝負であり、ハイレベルな争いになった。先行して3着に粘ったアスクビクターモアはその後、菊花賞馬に。9着ジャスティンパレスも天皇賞(春)を勝ち、ドウデュース、イクイノックスのその後も含め、伝説のダービーといっていい。 そのダービーで先手を奪い、厳しい流れを演出したのが今回、中日新聞杯を勝ったデシエルトだ。さすがに最後は力尽き、15着に敗れたものの、同年秋は父ドレフォンという血統からダートに挑戦し、いきなりオープンでレコードV。そうできることではない。 5歳秋、デシエルトは再び芝の中距離に戻り、アンドロメダSを逃げ切り、中日新聞杯で重賞初タイトルを手に入れた。3番人気と逃げ馬としてはマークされる立場ながら、逃げ切った。マークされようが、最後まで止まらなければ負けようがない。粘るというより、止まらないという表現に近く、持続力が抜けている。
中盤で緩まないラップ構成
前半1000mは58.8だが、注目は600~1200mの11.9-11.6-11.8。息を入れて後半に備えたい中盤でペースを落とさないのがデシエルトの特徴。追いかける側にとって、中盤で息を入れづらく、たまったものではない。 3コーナーで12.2とひと息入れ、そこからは11.7-11.8-12.1。緩みがない流れをつくりながら、急坂を上がったラストも12.1と極端に鈍らない。心肺機能が強く、ライバルたちはついて行くとかえってバテてしまう。非常にマークに困る逃げ馬になりつつある。 ようはラップ構成より、マイペースで運べるかどうかがポイントであり、この勝利によってさらにマークされにくくなるのではないか。追いかけたら、つぶされる。そんなイメージを抱かせるのは、逃げ馬にとって最高のパターンだ。 2着ロードデルレイとは前走アンドロメダSでも1、2着。当時はデシエルトが斤量0.5キロ軽く、今回は0.5キロ重い。1キロ1馬身。そんな計算式通り、縮まった着差は3馬身半から2馬身。現状ではデシエルトの完勝だ。 母系はアドマイヤグルーヴ、エアグルーヴのダイナカール一族本流。ドレフォンの持久力と母系の芝適性が絶妙なバランスを生んだ。底力を伝える母系でもあり、大一番でマークが手薄なら、チャンスもある。