東京はもっと緑化に向き合える。シモキタ園藝部から考える、都市緑化の可能性
「この活動を持続させる基盤となっているのは植栽管理ですが、ほかにもいろいろな活動が園藝部を支えています。いろんな職能・得意分野を持った人が下北沢エリアに出入りしていて、なおかつ『緑が好き』という共通の理由で集まっているから、それぞれのスキルを活かして役割を分担しています。 とはいえ『植物』という大きな括りの中で、関心分野もやりたいことも違います。なので、話し合いをしても同じ意見にならないのもいいところなのかなと思いますね」
循環をテーマに試みる、コンポストエリア
次に見学へ向かったのは、『のはら』の奥にある、柵で囲われたコンポストエリア。ここでは植栽管理で剪定した枝葉や除草した雑草を集め、ふたたび堆肥化しています。「循環」を大切なテーマにしている園藝部にとって、このコンポスト事業は大きな要になっているといいます。
「メインのコンポストには植栽管理で剪定・除草された植物以外に、近所のコーヒー店『Belleville Brûlerie TOKYO』さんが持ってきてくれるコーヒーかすや、果物店からいただく乾燥させた果物くずなどを混ぜて運用しています。ご近所付き合いで生まれる、いい循環ですよね。また、『のはら』で刈った草を入れる箱にも、区内のりんご店からもらったりんご箱を使っています」
敷地内にあるさまざまな仕組みや、実験中の色々を次々と紹介してくれる斉藤さん。なかでも斉藤さんが力を入れているのは、先ほどのりんご箱を使った「キエーロ」(※) の開発とのこと。 ※微生物分解によって生ごみを分解する家庭用コンポスト。 「最近妄想しているのは、園藝部でキエーロを販売して、一年間で100個売ることなんです。あくまで計算上ですが、もしもそれが各家庭で利用されたら、世田谷区の生ごみが約10トン消えたことになるんですよ。これって、すごくおもしろいじゃないですか。園藝部に出会ってなかったら、こんなに大きな循環に関わることはなかったと思います」