東京はもっと緑化に向き合える。シモキタ園藝部から考える、都市緑化の可能性
「日本の野草や西洋ハーブだけでなく、最近はインドハーブも試しに植えています。最近の夏は暑すぎるから、熱帯の植物がよく育つんですよね」 そう話しながら『のはら』を案内してくれたのは、金子結花さん。『のはら』の植栽計画を手がけたランドスケープデザイナーでもある彼女は、小田急電鉄から植栽設計を依頼された企業「FOLK」のメンバーとして園藝部の立ち上げに関わりました。そして現在は一般社団法人となった園藝部の社員として、線路跡地の植栽管理と『のはら』向かいにある飲食店『ちゃや』の運営を担当しています。 「園藝部が小田急電鉄から委託を受け植栽管理をしているのは、東北沢から世田谷代田までの約1.7km。長い距離なので、それぞれのエリアでグループを分け、水やり・手入れを手分けしています。 各エリアで生えている植物が違ったり、目的によって手入れの具合も変えたりしていますが、大切にしているのは『手入れしすぎない』ことですね」
各エリアの中でも下北沢駅前の『のはら』周辺は、園藝部の活動拠点とも言える場所。名前の通り、野原のように植栽された敷地内は、人が歩きやすいエリアと入りにくいエリアを分け、草木が生い茂る環境を守っています。
「道沿いだと、どうしても歩くのに邪魔になりそうな植物は剪定しないといけませんが、ここは"野原"なので、人を優先しなくていい。そうすることで、動植物の生息地を確保できるようにもなっているんです。 『のはら』のオープンからたった2年で、草むらを住処にする昆虫や小動物がすごく増えてきているんですよ。都会のど真ん中で、虫の声が聴こえるようになりました」
金子さんが教えてくれた園藝部の主な活動は、大きく分けて4つ。 1.小田急線路跡地の植栽管理 2.ワイルドティーと蜂蜜のお店『ちゃや』の運営 3.コンポスト事業 4.イベントやワークショップの開催 これらが一般社団法人シモキタ園藝部の運営のもと有志の部員主導で行われていて、現在は世田谷区内外の約200名ほどが登録。そのうち、コアで活動しているのは50人前後で、それ以外にも都合の合う日・時間だけで参加している部員も多いといいます。