宿根草ガーデンに欠かせないグラスの存在。枯れ姿の色も考えて植える場所を決める
園芸好きの間で話題の、神奈川県愛川町の服部牧場にある宿根草ガーデン。丹沢を借景に空が広がる心地よい空間に、秋を探しに訪れませんか。今回はグラス多めの内容です。『趣味の園芸』で連載中の「日本一美しい 牧場の宿根草ガーデン」、10月号より一部を抜粋してお届け。
枯れ姿の色もグラス選びのポイント
連載の始まった4月号からグラスは毎回のように登場し、今回は4種を紹介している。当初は数種程度だったグラスが、今では各所に姿を見せ、牧場ガーデンに欠かせない存在。ガーデナーの平栗智子さんに伺った。 「牧場ガーデンをつくる前に行ったイギリスで、優雅に風に揺れるグラスがさまざまな宿根草を従え、際立つように植栽されているガーデンを見て、グラスって主役にもなるんだと涙が出るほど感動。宿根草と同じようにグラスも使いたいと思うようになりました。 ただグラスを育てるには種類にもよりますが、成長後の株張りに注意が必要です。ほかの宿根草より株間をとって植えても、グラスがまわりの草花を覆いつくしてしまうことも少なくありません。 草丈や株張り、穂を上げる時期などは環境によって異なるので、実際にガーデンに植えて、グラスの育ち具合を観察しながら合わせる植物を検討しています。これまで100種類くらいは試したのではないかと思います。 グラスを選ぶときは、ドーム状や縦に伸びるなど、種類によって異なる草姿はもちろんですが、常緑以外のグラスは枯れたときにこげ茶色になるのかベージュがかるのか、枯れ姿の色も考えて植える場所を決めています。 牧場ガーデンでは、冬のグラスが光り輝く神々しい姿も見てほしいので年内くらいまで公開しています。そんな姿にも目を向けていただけたらと思います」 ミューレンベルギア・カピラリス(上の写真)は、平栗さんがガーデンにグラス類を使うきっかけになったという種。ふんわりとドーム形に広がるので、場所をしっかり確保してのびのびと穂を出させたい。西日(特に秋の夕日)を受けて輝く姿がとても似合う。 10月号ではグラス類をはじめ、平栗さんが選んだすてきな宿根草を紹介しています。ナチュラリスティックに移り変わる四季折々の宿根草と庭づくりのヒントを、誌面でお楽しみください。 ●連載「日本一美しい 牧場の宿根草ガーデン」 神奈川県・服部牧場のガーデン。ナチュラリスティックに移り変わる四季折々の宿根草と庭づくりのヒントを、ガーデナーの平栗智子さんに案内していただきます。 平栗智子(ひらくり・ともこ) ガーデナー 園芸店でサンプルガーデンや宿根草の仕入れを担当し、ガーデンボランティアで経験を積む。2015年秋から神奈川県愛川町にある服部牧場内の宿根草ガーデンのデザインや管理を手がけている。 服部牧場(神奈川県愛甲郡愛川町半原6087) *牧場は入場無料。 『趣味の園芸』2024年10月号 日本一美しい 牧場の宿根草ガーデン「第7回 試したグラスは100種ほど」より