【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第7ステージ】ポガチャルが登坂タイムトライアルで完勝、7日目にしてジロを完全制圧か。「ポジティブな意味で、今日の自分の走りには少し驚いている」
ただ王者の爆走の前には、すべてが霞んでしまった。ポガチャルにとっては昨8月11日の世界選手権個人タイムトライアル以来……つまり丸々9ヶ月ぶりの個人TTであり、だからこそ極めて慎重に走り出したはずだった。
「まず最初は良いペースに乗ろうと考えた。あまり飛ばしすぎず、自分のペースをつかみたかった。数キロ走った先で、脚の調子が良いことを確信した。だから平坦部分ももう少しプッシュすることにしたんだ。特にコーナーを抜け出すたびに、スピードを上げるよう心がけた」(ポガチャル)
第1中間までの18.6kmでガンナに対して44秒もの遅れを取りながら、続く第2中間までの15.4kmでは、わずか3秒しか落とさなかった。勝負の4級山岳には47秒ビハインドで上り始めた。昨ツールの第16ステージ、「マイヨ・ジョーヌを取りに行く」つもりで飛ばした登坂タイムトライアルでヨーナス・ヴィンゲゴーの異次元の走りに打ちのめされた悪夢を、繰り返すつもりはなかった。
「上りに入る2km前から、できるかぎり呼吸を整えた。そして道が上り始めたら、あとはてっぺんまで全力だった」(ポガチャル)
大きなギアを踏みつけたガンナやトーマスとは違い、ポガチャルは小さく軽やかにペダルを回した。最終6.6kmはガンナより1分04秒も、トーマスより1分20秒も早く上った。上りだけなら2番目に速かったマルティネスでさえ、32秒も足りなかった。
山の上で、ポガチャルは、今大会ステージ2勝目をあっさり手に入れた。2020年ツール第20ステージ、2021年ツール第5ステージに続く、自身3つ目のグランツールTT区間勝利。これでグランツール区間勝利数を通算16勝にのばしたのはもちろん、参加した6つすべてのグランツールで、少なくとも2区間ずつは勝ち取ったことになる。またジロ開催委員会のトリビアによると、21世紀のジロで通常区間とTT区間とを同一年に制した選手は、2020年大会のガンナに続く2人目なんだとか。
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