【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第7ステージ】ポガチャルが登坂タイムトライアルで完勝、7日目にしてジロを完全制圧か。「ポジティブな意味で、今日の自分の走りには少し驚いている」
肝心のイネオスのエースだけは、満足な走りができなかった。開幕前からポガチャルは今ステージを恐れていたし、中でもトラックの団体追抜で何度も世界の頂点を極め、若き日からTT巧者として鳴らしてきたゲラント・トーマスの存在を、最大限に警戒してきた。ところが開幕直後からポガチャルのあらゆるアタックに身軽に反応し、ボーナスタイムもこつこつと貯め、納得の総合2位につけていたトーマスは、「真実の試験」の当日に……まさかの「ついてない日」にはまってしまう。平地部分からすでに不調は明らかだった。第1計測ではポガチャルへの遅れを9秒に留めたが、第2計測でトーマスの遅れは早くも40秒に。
「自分のリズムを保ち、自分自身の走りに集中した。スタートの時点では、大丈夫だ、行ける、と感じていたけど、少しだけ足りなかった。あれ以上は上げられなかった」(トーマス)
ガンナをさらに上回る巨大な66Tのフロントシングルを選んだというトーマスは、激坂パートではリズムを保つのに大いに苦心した。上りきった先のフィニッシュでは、ポガチャルからの遅れは2分にも達した。区間は10位で終えた。
総合での遅れが、2分46秒差に拡大しただけではない。1年前のジロ最終日前夜、やはり登坂タイムトライアルでバイク交換&ヘルメット交換という大胆すぎる作戦の果てにマリア・ローザを脱いだトーマスは、この日はダニエル・マルティネスに逆転さえ許した。昨シーズンまでイネオスのチームメイトだったマルティネスは、ステージ前半こそ大きく遅れたものの、得意の山場で上手く巻き返した。ポガチャルから1分49秒遅れの区間8位に食い込み、総合では順位を1つ上げ、2分36秒差の総合2位につけた。
またベン・オコーナーが総合11位から一気に総合4位へと前進し、前日マリア・ローザを取りそこねた23歳ルーク・プラップは、総合5位に浮上すると共に、新人賞首位に立った。マリア・ビアンカは失ったものの、21歳キアン・アイデブルックスはいまだ8秒差で追いかける。大会2日目の遅れを取り戻すかのように、22歳アントニオ・ティベーリは総合順位を21位から8位へ、マリア・ビアンカ争いでは7位から3位へと大幅にジャンプアップを成功させた。
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