全ての道は今に通ず(Bリーグ・広島ドラゴンフライズ / 男子日本代表 山崎稜)
広島ドラゴンフライズがB1初制覇を果たしたのは、もう半年も前のこと。オフの期間はあっという間に過ぎ去り、既に新しいシーズンが始まっているが、故障者が続出した広島は11月のFIBAブレイクに入った時点で3勝11敗、西地区の8クラブ中7位と苦しい序盤戦を送った。 とはいうものの、出てくるのはネガティブな話ばかりではない。FIBAアジアカップ2025予選Window2のために招集された日本代表候補の中には、広島から3人の名前が入っていた。もちろん、昨シーズンのチャンピオンシップで残したインパクトも、今回の選考には一定の影響を与えたに違いない。 その中の1人、昨シーズンのチャンピオンシップファイナルMVPである山崎稜は、過去にも代表候補に名を連ねたことはあったが、トム・ホーバス体制では初招集だった。32歳という年齢は、比江島慎(宇都宮ブレックス)とアレックス・カーク(琉球ゴールデンキングス)に次いて上から3番目。山崎は「本当にオールドルーキーという感じですし、この歳でこういう場所に呼ばれることは光栄なこと。自分的にはコツコツ頑張ってきたつもりなので、メンバー入りを聞いたときは『ここまで来れたな』と思いました」と語り、今回代表候補に入ったことには殊の外感慨があるという。 「もうベテランの域に入ってきてますし、これからあと何年キャリアを伸ばしていけるかという年齢。選手として長いことやってきた中で、一つ箔がついたなという感覚があります。選手として何も成し遂げられないまま終わっていくよりは、リーグ優勝もできて、代表にも呼ばれてという経験ができるのは良いことだなと思います」 山崎の良いところは、ある意味肝が据わっていることだ。遡ること13年前、山崎はスラムダンク奨学金の第4期奨学生に選ばれ、地元の埼玉・昌平高校卒業後にアメリカに渡っている。その当時から、自分らしさを貫き通すことはごく自然にできていたようで、今回の合宿でも山崎の心持ちは普段と変わらなかった。 「フワフワというよりはどっしりと、それなりに地に足ついてやれてるかなとは思います。これはアメリカに行ったときからそうで、僕のキャラクターもあるかもしれないんですが、マイペースというか、周りに流されることもなく、自分のリズムを崩さずにできてると思います」 もちろん、代表合宿となると、激しい競争にも晒される。山崎も「ここに呼ばれたからには、自分ができることを最大限に発揮して、結果につなげたい。どれだけアピールできるかだと思います」と生き残りを賭けて取り組んでいるが、取り巻く全てをポジティブに受け止めることができるのも山崎らしいところだ。 「シーズンも始まって、コンディションも良い中でやってるので、練習にはついていけてます。2部練なので、普段の練習に比べるとキツさはありますが、普段も高い強度で練習してる分、そこの差はあまり感じなくて、面食らうこともないです。 率直に感じたのは、僕がアジャストしやすい、入り込みやすいスタイルのバスケットだということ。打てるタイミングなら積極的に打っていってほしいということも言っていただいたので、自分のタイミングで打てるシュートをしっかり狙っていきたいと思います。5アウトの形が多くて、全員で動いてボールを回すバスケットなので、やってて楽しいですし、全員でバスケットができてるなという感じがあります。覚えないといけないこともいっぺんに入ってくるので、すぐにインプットしてそれを表現しないといけないのは大変ですが、やるしかないので」