海外勢による日本の債券先物売りが一服、先行きは依然弱気との見方も
(ブルームバーグ): 海外投資家は日本の国債先物をようやく買い越し、過去最長となっていた売り越し記録がストップした。しかし、これはどうやらセンチメントの改善を示すものではないようだ。
海外投資家は、日本取引所グループのデータでさかのぼることが可能な2014年以降で最長となる12週連続して長期国債先物を売り越してきたが、5月3日までの1週間は3980億円の買い越しに転じた。
日銀が4月26日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたほか、国債買い入れオペの購入額も維持したため、追加利上げは急がないだろうとの見方から先物に買いが入ったもようだ。外国為替市場の円相場も対ドルで一時160円を突破し、1990年以来の円安水準を付けた。
ただ、13日に日銀が残存5年超10年以下のオペでの買い入れ額を前回から500億円減らしたため、同日の債券相場は下落。日本国債が追加利上げの可能性や為替変動、インフレ加速などのリスクに直面し、波乱含みの状況にあることを裏付けた。
取引所のデータによると、海外勢は昨年の日本国債先物の取引全体の73%を占める主要プレーヤーで、先物の動向が現物債にも影響を与えるため、海外勢の動向は市場の注目を集めている。
バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは、今回発表のデータが「日銀直後のタイミングという意味では、少し特殊なタイミングだったということが考えられる」と指摘。日銀によるオペ減額の観測や追加利上げ期待の高まりも引き続きあり、「一定程度の売り圧力というのはまだまだ続きやすい」との見方を示した。
日銀利上げ、バンガードも市場上回る回数見込む-ピムコに追随
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストはリポートで、日銀が円を支えるために行動を起こす緊急性は2022年11月の首相・日銀総裁会談後のレベルまで高まっていると指摘。日銀が6月に開く次回の金融政策決定会合に向け、国債買い入れ額の変更を含む措置を講じるとの見方が今後強まっていく可能性がある。