広島商が準決勝進出 徳永啓人が六回途中まで無安打投球 伝統のスクイズも炸裂/神宮大会
明治神宮野球大会第3日(22日、東海大札幌0-3広島商、神宮)初出場の広島商(中国)が東海大札幌(北海道)に3-0で零封勝ち。23日に行われる敦賀気比(北信越)との準決勝に駒を進めた。先発した2年生左腕、徳永啓人投手が六回途中まで無安打投球を見せるなど、8回113球を投げて4安打無失点、8奪三振の快投で勝利に貢献した。 春夏合わせて歴代3位タイとなる7度の甲子園優勝経験がある広島商が、意外にも初出場の神宮大会で快勝劇を見せた。五回まで無安打投球を続けていた先発・徳永。六回1死から2番打者に中前打を浴びノーノーの記録は途絶えたが、集中力は切らさなかった。 「チームに貢献できるようにと意識していたので、あまり(記録は)気にしてなかった。(安打を打たれて)一瞬あっ…となったけど、そのあとは切り替えられた」 一回は変化球が抜けていたというが、「低め低めを意識するように」と徐々に修正を加えた。切れのある直球と大きなカーブなど緩急を織り交ぜ、相手打線を寄せ付けなかった。 味方打線も2-0の二回、1死三塁から1番・小田が初球に投前スクイズを決めて追加点。昭和48(1973)年の夏の甲子園決勝(対静岡)で、2-2の九回にサヨナラスクイズで優勝を決めて有名となった、同校伝統の戦略も炸裂(さくれつ)した。 徳永は今夏、ベンチを外れ、スタンドで声援を送った。チームも決勝で広陵に1-3で敗北し甲子園出場を逃した。チームとしても、個人としても悔しい思いを味わった。今秋に向けて課題であった制球力向上のため、シャドーピッチングなどで投球フォームを固めることに重点を置いた。今秋の中国大会では4試合に登板。1完投を含む16回⅓で4失点と力を発揮し、初の神宮大会出場に貢献した。 広島商といえば、元広島監督の達川光男氏(69)やソフトバンク・柳田悠岐外野手(36)ら、多くのプロ野球選手を輩出した名門校だ。徳永自身も、伝統ある「HIROSHO」のユニホームに袖を通し、戦うことへの思いは強い。「OBの先輩方が作り上げてくれたものがある。ユニホームを着れない人もたくさんいるので、その人たちの分までやる」と意気込んだ。 初出場となった神宮大会での目標は優勝。そしてその先に見据えるのは夏の甲子園制覇だ。「自分たちの目的は、来夏の全国制覇。そこに向けて通過点となるように優勝することができれば」。伝統校・広島商が秋の神宮を沸かせる。(児嶋基)