「借りる人がいないから空き家になっている」は勘違い!昭和の実家は高く貸せる
集合住宅から戸建てへ移りたいという人は多い
一方、借りる側の事情はどうでしょうか。賃貸住宅に住もうと考える人の多くは、まずはアパートや賃貸マンションを探します。戸建てより物件数が圧倒的に多く、立地にしろ広さや間取りにしろ、賃料にしろ選択肢が多いからです。 特に単身者にとっては、多少狭くても便利な立地で家賃がそこそこ手頃なアパートや賃貸マンションは魅力的です。 しかし、アパートや賃貸マンションのような集合住宅では一つの建物(棟)に複数の住戸があり、それぞれ床や天井、壁で上下左右と接しています。そのため騒音の問題が起こりやすく、またゴミ出しやペット、洗濯物の干し方などいろいろルールがあります。 さらに、新築になるとどうしても狭かったり、駅から遠かったり、賃料も割高です。 こうしたことから、アパートや賃貸マンションといった集合住宅にある程度、長く住んでいる人の中には、例えば子どもが生まれたり、ペットを飼おうと思ったりしたタイミングで戸建ての賃貸物件があれば移りたいというニーズがあります。 戸建てなら基本的に家族だけが住んでいるので上下階や隣の部屋との間で騒音の問題はほとんどありません。ペットを飼うことも大家が認めれば問題ありません。 多少、築年数が古く設備が最新式でないとしても、戸建てにはそうした魅力があります。昭和の木造戸建てであっても潜在的な借り手はかなりいるということです。 ちなみに岡山市内にある私の実家も昭和の木造戸建てです。築70年以上経ちますが、家の中をきれいに片付けて賃貸募集したら3週間ほどでちゃんと借り手がつきました。いまは月額8万円で貸しています。
最新の設備は必要ない
なお、昭和の木造戸建てについては、「内装や設備が古くさくて敬遠されるのではないか」という質問を受けることがあります。 そういう人ほど、壁のクロスや床のフローリングを張り替えるのはもちろん、台所にはシステムキッチン、トイレには温水洗浄便座、お風呂には追いだき機能などがないと、まともな賃料では貸せないと思っていたりします。 確かに、業界紙などでは「入居者に人気の設備」といったランキングが発表されており、「こういった設備がないと、まともな賃料はとれないのではないか」と考えるのもわかりますが、決してそんなことはありません。 賃貸住宅を借りる人は、様々な条件のバランスで物件を選びます。様々な条件の中で最優先は賃料です。「このくらいの家賃で」というのが真っ先にきて、その次に立地(沿線や駅からの距離)、広さ、間取り、築年数、内装、設備などとのバランスを検討します。 内装や設備はあくまで検討条件の一つであり、優先順位も賃料はもちろん、立地や広さに比べると後になります。極端な話、「広さや間取りが同じで家賃が他より2万円安ければ、内装や設備にはこだわらない」という入居者はいくらでもいます。 もちろん、水道やガス、電気などが通っていて、普通の生活が送れる状態であることは最低限必要ですが、そもそもローンのない実家を貸し出す際、家賃を低めに設定すれば入居者獲得には非常に有利です。