元広島40勝米スカウトがWBCで見たメジャーで通用する侍Jの8人
WBCの東京ラウンドが終わり無傷の6連勝で1、2次ラウンドを突破した侍ジャパンは決戦地のアメリカへ旅立った。そして、その背中を追ってアメリカに旅立ったプロ集団がいる。全米30球団の国際スカウト達だ。 大会期間中、東京ドームのネット裏の一区間、約200席ほどがテープで仕切られ、彼らはそこに大挙して陣取っていた。各球団は5、6人の複数の国際スカウトが来日、WBCを追いかけていた。スピードガンで1球、1球、球速を測定してスコアをつけ、スカウトノートにメモを残す。その中に見慣れた顔があった。広島、オリックスで本格右腕として活躍したブライアン・バリントン氏(36)だ。 バリントン氏は、広島の4年間でマエケンと共に先発ローテを守り開幕投手も務め40勝した後、優勝を狙った2015年のオリックスの大型補強の一人として引き抜かれたが、故障に苦しみ5勝に終わり、昨年を限りに現役引退。現在は、ミルウォーキー・ブリュワーズの国際スカウトとして第2の人生をスタートしている。 今回の侍ジャパンにも、広島の菊池涼介(27)や、オリックスの平野佳寿(33)ら、かつてのチームメイトがいたが、「会っていないんだ。我々スカウトは入場許可証がなくチケットを買って観客席で見ているだけなので、中に入れないからね」と、残念そうに笑った。 今回の来日では、日本だけではなく、キューバ、オランダ、イスラエル、豪州など、各国の選手をチェックしたそうだが、「日本のプレーヤーは質が高い」と言う。 誰を狙うかは、極秘事項だろうが、バリントンはあくまでも「個人的意見」との前提でスカウトの立場で見たメジャーで通用する日本人選手のメモを教えてもらった。 「WBCに、これだけ多くのスカウトが駆けつけている理由は、オランダのようにメジャーでプレーしている選手が集まっているチームや、イスラエルのようにマイナーリーガーで結成されているチームが出ているので評価を比較しやすいんだ。WBC公式球もメジャー球に近いし、マウンドもメジャー仕様になっている。どうしても、国内リーグだけのプレーをチェックすると、適応力も含めて、メジャーへ来てどうなのかの判断が難しい。私も日本でプレーしているからわかったが、非常にボールの品質が高くて投げやすかったからね。 メジャーで成功すると考える選手を挙げるなら、やはりピッチャーから名前が出てくる。私の好みで言うならば、則本、増井、藤浪、千賀の4人。もちろん、大谷という名前を忘れてはいけないけれど(笑)。この5人は、共通して95マイル(155キロ)級のファストボールに加えて、空振りの取れる変化球を持っている。縦に落ちるボールを操るのが日本人の特性だが、彼らは、その条件をも満たしている」 バリントンが侍ジャパンの中から挙げたのは、イスラエル戦では、正確に制球はできなかったが、お化けと評されるフォークをうまく配球に織り交ぜながら、最速153キロのストレートで押し込み、5回を1安打無失点に抑えたソフトバンクの千賀滉大(24) 、オランダ戦で満塁のピンチを救った日ハムの増井浩俊(32)、1次ラウンドの中国戦で2番手登板した阪神の藤浪晋太郎(22)、そして、開幕のキューバ戦では、5安打3失点と崩れ、まさかのストッパー起用されたオランダ戦でも二死から同点打を浴びるなど国際試合での弱さを露呈してしまった則本昴大(26)の4人。 バリントン氏は、「則本は、結果を出せなかったが、155キロを超えるストレートに、あれだけのスライダーのコントロールがあればメジャーでも勝てる。評価は変わらない」と言う。 では、野手はどうなのだろうか?