自民党・茂木幹事長に訊く対トランプ交渉術、スタートアップ成長支援策とは?
増税がいらない財政にするには? ①新NISAで個人金融資産を未上場株へ
日本の財政についての話題に移ります。増税は必要か、との問いに対し、茂木氏は「増税しなくても財源を捻出する努力が必要」と語ります。それが生産性向上です。 茂木氏「生産性を上げることで、所得や年収を増やして行くことが最優先の課題だと思っています。アメリカは10年で生産性が1割以上アップしました。日本は横ばい。アメリカではどうして生産性が上がったのか」 アメリカでは、この10年でデジタル、グリーン、ヘルスケアなどの成長産業に資金が投入され、人材が流れました。茂木氏は日本でも「デジタル、グリーン、シェアリングエコノミー、スタートアップという成長分野を伸ばすことで生産性を上げ、所得向上につなげることが大切」と説明します。 茂木氏「生産性が上がることは税収増につながるんですよ。税率を上げなくても、生産性が上がると経済が大きくなる。たとえば税収が2%上がれば2.8兆円。今年のこども家庭庁の予算の7割がまかなえます」 MC鈴木邦和「日本で生産性が上がらない原因は?」 茂木氏は、人、資金の話の前に、大切なのは中小企業の生産性を上げることだと説きます。中小企業でのデジタル化による業務改善や、ネットを使った販路拡大などに取り組むなど、「中小企業の生産性の向上は新たな可能性だと思います」と期待します。 その資金源は、個人の金融資産にあると説きます。 茂木氏「個人の金融資産は2200兆円、国の予算の20年分。ところがこの半分以上がタンス預金や銀行預金。これらを経済成長や企業業績に連動する、株式や投資信託に回すことで、スタートアップを含め成長分野に流れていく」 水内氏「資金をどう回すかにも改善の余地があると?」 茂木氏は、家計の資産形成を支援し、貯蓄から投資へ促すNISA制度にその糸口があると語ります。 投資信託協会は2024年2月より、新NISA制度において、公募投資信託は純資産総額の15%を上限に、未上場株を組み入れられる自主ルールを定めました。これは、スタートアップ企業の資金調達環境を改善するために取り決めた、政府の「新しい資本主義実行計画」によるものです。 茂木氏「まだ新しい商品が出ていない。上場3年目くらいの新しいスタートアップや未上場企業の株式を組み込んだ商品が出て、それが買われるようになると、ずいぶん状況が変わってくる」 茂木氏は、この自主ルールが活用されることで、5兆円くらいがスタートアップや未上場企業に流れると期待します。