自民党・茂木幹事長に訊く対トランプ交渉術、スタートアップ成長支援策とは?
トランプ大統領が再選したら、日本との関係は?
茂木氏は、大統領選までに3か月以上あること、トランプvsバイデンの構図がトランプvsハリスに変わったことから「今の時点でどうなっていくか予測できない」と前提を語ります。 アメリカ大統領選では、選挙のたびに勝つ党が変わる「スイングステート」と呼ばれる7州、とくにミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州の動向が最終的な結果を決めてきました。 茂木氏「ハリス氏が大統領候補になる前は、この接戦州すべてでトランプ大統領が支持を広げていたんです。アメリカの中の雰囲気は『ほぼトラ(ほぼトランプ)』という感じでしたが、新しい大統領候補になってどうなっていくか、まさにこれから注目ですね」 水内氏は「日本にとってトランプ氏は、恐れなくてもいい相手なのでしょうか」と、トランプ氏の外交力について尋ねます。 茂木氏「二国間の問題と多国間の問題があります。トランプ氏は二国間でディールをするのを好むタイプ」 茂木氏は、これまでの「日米二国間関係に限って言いますと、トランプ大統領になってもうまくマネージできると思っています」と見越します。その根拠は。 共和党は、同盟国にも相応の負担を求める話をしていますが、日本はすでに防衛費も対GDP費2%にするという決定をしています。経済分野でも、日米貿易協定が発効され、経済の関係が深まっています。 茂木氏「中国との関係はかなり緊迫するかもしれませんが、日米においてはないんじゃないかなと思います」
茂木氏は、日米貿易交渉でのやりとりをもとに、トランプ氏との交渉テクニックを語ります。 茂木氏「(トランプ氏対策としては、)氏が何に関心を持っているか、正確に理解することがまず大切なのかなと思っています。その上でどっちが勝つかというゼロサムゲームにしない。双方にメリットがある合意をどう作るかが大切」 茂木氏は、トランプ氏の言うことを受け止めながら、全体で考えてみようかといった方向に持っていき、全体最適解を導いていくことで解決すると語ります。 そして、すでに日米では、安全保障、経済、サイバーなどの関係が深化しているので、心配することはないとも重ねます。 水内氏「トランプさんの独特の性格を踏まえながらやっていくのも、できるようでなかなかできないことだと思うんですよね。ディールはやっぱり大事」 一方で、国際社会全体に関わる問題、公正な通商ルールや地球温暖化対応になると苦労する可能性があるだろうと予測します。 例えば今回、トランプ氏は大統領に就任したら、電気自動車の推進を止めるという方針を既に打ち立てています。8年前、大統領就任初日にTPP離脱を決定した経緯から、今回も実現することが予想されますが……。 茂木氏は、多くのアメリカ国民が、アメリカだけ過度な負担を背負い、国内に資金が回っていないという思いを持っており、その雰囲気を捉えて対応してくると説明します。 茂木氏は以下のポイントを示しながら、議論を重ね合意を引き出していく取り組みが必要だと説明します。 アメリカだけに負担を押しつけようとするものではない 共通の潜在的脅威の拡大に向かって行こうと呼び掛ける 国際的な問題にコミットすることが自国の利益にもつながる