令和のニシンは洋風だ! 北海道産ニシンのアヒージョ缶詰
缶詰博士の黒川氏によると、缶詰に使われる魚の種類が少しずつ増えているそうです。地方の缶詰メーカーでは、とくにその傾向が強いとか。 【写真】「北海道産にしんアヒージョ缶」に野菜、パンを添えるとウマい 「缶詰では定番のサバやサンマ、サケが不漁続きなので、今まであまり利用されなかった魚も積極的に使うようになったんです。調理法もアップデートされて、洋風の味付けが増えてますぞ!」 ■昭和から令和へ ニシンは昭和のイメージが強い。それもサラリーマンが居酒屋でひとり、塩焼きをつついているイメージが強い。 「あっ、白子が入ってた。ラッキー」などと呟き、ラッキーというわりには肩を丸め、ぼそぼそと箸を運ぶ。そんな陰気さ&レトロ感をまとっているのがニシンである(筆者の個人的感想です)。 それが令和6年になって、華麗に変身した。ガーリックの風味も豊かなアヒージョ缶になったのだ。手掛けたのは岩手県陸前高田市のタイム缶詰であります。 ■独特の香ばしさ フタの下には大振りの切り身が整然、かつギュウギュウに詰まっていた。そのサイズが思ったより大きくて嬉しい。 立ち昇る匂いは、ガーリックとオリーブオイル、それとニシン特有の匂いだ。サバやイワシなどと違って青臭くなく、サケのような妖艶さもない。シシャモに近いような、でももっと脂っこいような独特の匂いである。 ■白く透き通った身 ニシンの身はとても柔らかく、骨にそってフォークを入れるだけで半分に分かれた。持ち上げると腹身のほうが垂れ下がり、自身の重みだけで千切れそうである。 その断面は白く透き通り、まことに美しい。 ■ミルキーな脂がにじみ出る かくのごとし。耐熱皿に油ごと移し、芽キャベツとプチトマトを加えて加熱した。お供はライ麦パンであります。 熱々のニシンをほおばると、身がふわっとしていて弾力がある。逆に、冷たい状態で食べると身は引き締まっている。でも肉質が繊細なのはどっちも一緒で、かんでいるとニシン特有のミルキーな脂がにじみ出る。ウマいです。 唐辛子の辛みは穏やか……、と思いきや、食べているうちに顔が熱くなる。一方、ガーリックはわりと控えめ。塩味はちょうどいい。 これまでニシンの缶詰は種類が少なく、味付けは蒲焼きなどの純和風がほとんどだった。それに対してこの新たなニシン缶は、アヒージョの他にトマト煮もある。定番の煮付け(砂糖しょう油味)も、水煮もある。選択肢が多いのはいいことであります。 缶詰情報 タイム缶詰/北海道産にしんアヒージョ缶 180g 399円 同社の直販サイトなどで入手可 ■ 缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。初のエッセイ本「缶詰だよ人生は」(本の泉社刊)も絶賛発売中! 公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。
缶詰博士