「私も一緒に辞めようかな」7年目アイドルの本音 「先輩が引退して」残ったグループアイドル・町村かなの覚悟
だからこそ、今回の彩瀬の引退には町村自身、考えるものがあった。 「加入の頃から、ずっと一緒にいた先輩で、千聖さんがいないTJを本当に想像できなかったんです。けれど、その作り上げてきた10年を引き継ぐのは私しかいないので……。その伝統を崩したくないという想いで、今は続けています」 「伝統」。長くアイドルを続けているからこそ出てくる言葉であろう。 そのグループの歴史が長いほど、メンバーとファンたちがライブハウスなどで紡いできた物語は多く、それぞれの年代別にたくさんの思い出でがある。
苦しいことなども山のようにあり、それでもなお町村が今ひとりアイドルを続けているのは、紡いできたその物語の数々を彩瀬と共に身を削り、作り上げてきたからに他ならない。 彩瀬自身はそれを「自己犠牲」と振り返っていたが、それを一番間近で見てきた町村は一番よく理解しているだろう。 ■「ついていくのに必死だった」先輩の背中 「今、ひとりでやり始めて、最初は千聖さんが長い夏休みに入っていて、そのうちまた戻ってきてくれるかなっていう感覚だったんです。でも1カ月経った頃に『本当にもういないんだ、私がちゃんと形にしなきゃ』と思い始めました」
偉大な先輩を失った喪失感は、次第に「自分自身のグループを作る」という想いに変わってきた。 以前、彩瀬の取材時に帯同していた町村が、彩瀬に関して語ってくれたことがある。 「千聖さんのアイドルとしてのオーラというか人間力というんですかね。本当に私には真似できないですが、必死についていってアイドルを続けてこられてます」 TJ(トーンジュエル)では、彩瀬は圧倒的なアイドルとしての存在感を放っていた。 ゆえに、どうしても隠れるような形となっていた町村ではあるが、彼女とて6年間アイドルを続けてこられているのには、それなりのワケがある。
「最初こそどうしようかなと思ってたんですが、私がここまでアイドルを続けてこられたのは、隣にまっちー(町村)がいたからできたことです。だから、これからは彼女の時代。自分なりのグループを作ってほしいですね」 引退した彩瀬は、町村のことをこう評した。長く共に時間を過ごしてきた2人だが、ケンカをしたのは覚えている限り一度だけだという。 「まっちーが入って最初の2週間目くらいの頃でしたかね。その日はお昼と夜の2つライブがあって、最初のライブを終えて、次の会場への移動の電車の中で『このままじゃダメだよ! わかってる?』って割と強めに注意したんですよ。