青山に潜む“築50年の秘密基地”今も衰えぬ人気、圧倒される中庭と内部、借り手の意外な“目的”
それを踏まえ、部屋の内部に話を戻そう。 ビラ・モデルナは中庭を囲むように住棟が立つ。向かって右側の外側に向いたA棟と、中庭に面するB棟、C棟からなる。A ・B棟とC棟にはブリッジがかかり、行き来できる構造だ。 ビラ・モデルナの1戸あたりの占有面積は12~36㎡ほどだ。見学したモデルルームには、作業机や丸テーブル、チェアが置かれていた。作業や打ち合わせを行う仕事場として、十分な広さがあった。ちなみに、共用部のロビーや中庭も打ち合わせや商談で利用できる。
仕事場として快適さを感じられる一方で、思い切って省略したものもある。 ■キッチンはついていない 「住戸にはガスが通っていないのでキッチンがなく、小さな水回りがあるのみです。電気ポットでお湯を沸かすことはできても、室内で調理はできません。住戸によっては当時まだ珍しかったユニットバスも付いています。ビラ・モデルナは、住居ではなく、仕事場として活用しやすい空間にデザインされています」(新槇さん) ビラ・モデルナはセントラルの給湯システムで、蛇口をひねるとお湯は出る。ユニットバスをのぞいてみると、空間は非常に細くコンパクトだった。壁の丸みや艶から、洗練された雰囲気が感じられる。仕事場にバスルームがあると、泊まり込みの日や仕事の合間に汗を流したいとき、出張のときの宿泊にも重宝するだろう。
ちなみに、中庭側の住戸をはじめビラ・モデルナの部屋の多くは、屋根に当たる部分に窓がある。上から光が入り、室内に開放感がもたらされる。 部屋にこもって仕事をしたり、ロビーや中庭で来訪者と打ち合わせをしたり、自由に使いこなすことができる。 気になるのはビラ・モデルナの“居住者”だ。 都市・建築プロジェクトプランナーの真壁智治さんは、ビラ・モデルナに40年以上仕事場を構えてきた。この仕事場を、レジデンスとオフィスの「レジデンシャルオフィス」と表現する。