スポークホイールはキャストホイールより軽い?
「良いトコどり」の「コムスター」とは!?
1970年代後半に登場したキャストホイールですが「ルックスは新鮮だけどスポークホイールより重い」というデメリットがありました。そこでホンダが世に出したのが「コムスターホイール」です。車軸周りのハブと軽量なアルミリムを「スポークプレート」で繋ぐという革新的な構造は、キャストホイールより軽量で、同時にバイク用のチューブレスタイヤも世界で初めて装備しました。
コムスターホイールによるバイク用チューブレスタイヤの登場は、スポークホイールとキャストホイールにも大きな変化をもたらしました。それはキャストホイールにチューブレスタイヤを履くことで、パンク時の急激な空気漏れを抑止して安全性が高まったことと(パンクの応急修理も簡単)、チューブが不要な分、軽量になるからです。これによりロードスポーツ車は急速にキャストホイール化が促進されました。 さらに1980年代後半には、バイク用の「ラジアルタイヤ」が登場します。グリップ性能だけでなく、大排気量・大パワーのバイクだと既存の「バイアスタイヤ」で対応するには構造や強度面で重量がかさみ、ラジアルタイヤの方が軽量に作れることもメリットでした。 そして時代を追うごとにバイクの高出力化やコーナリング時のグリップ力を高めるためにロードスポーツ車のタイヤはどんどんワイド化し、ホイールにも高い剛性が求められるようになりました。 この要求にワイヤースポークで応えることは難しく、性能を優先するロードスポーツ車ではスポークホイールを採用しなくなりました。そのため近代では「スポークとキャスト、どっちが軽い?」と単純に比較することはできなくなったのです。
スポークホイールのメリットは?
とはいえオフロード車は、現在でも競技用モデルも公道用モデルもスポークホイールが主流です。これはジャンプから着地した時などに、スポークホイールの方が衝撃吸収性に優れているからです。またロードスポーツ車がサーキット走行するような、舗装された路面を深いバンクでハイスピードで駆け抜けることを想定していないので、ホイールに求める剛性も異なります。