スポークホイールはキャストホイールより軽い?
見た目はスポークホイールの方が軽そうだが……
オフロードバイクが履くスポークホイール(正確にはワイヤースポークホイール)は見るからに軽そうです。対する多くのロードスポーツ車が履くアルミのキャストホイールは、デザインにもよりますがスポークホイールより重そうに見えます。 【画像】えっ…!「スポークホイールは軽い?」画像をもっと見る(13枚)
スポーツ性能を考えたら「バネ下荷重」(サスペンションのスプリングより下にあるホイールなどの重量)が軽い方がタイヤの路面追従性も高まるので、ロードスポーツ車も軽量なスポークホイールを履いた方が良いのでは? という気がしなくもありません。スポークホイールは本当に軽いのでしょうか? じつは、スポークホイールとキャストホイールのどちらが軽いかは、現在は単純に比較することができません。それはホイールの歴史やタイヤの進化も影響しているからです。 そこでバイク用のホイールの起源を辿ると……最初は木製でした。世界初の内燃機関を積んだ2輪車は、ダイムラー社(現在のメルセデスベンツ)が1885年に製作しましたが、車輪は大昔の荷車のような木製で、耐久性を高めるために外周に鉄板を貼っていました。とはいえ、この2輪車はエンジン開発用の試作車で販売はされていません。 その後、実用バイクを1900年代に発売したトライアンフやハーレーダビッドソンは、空気入りのゴム製タイヤを履き、ワイヤースポークホイールを装備していました。 1900年初頭に登場したバイクは長らくスポークホイールを履き、現代的なアルミ合金製のキャストホイール(鋳造製ホイール)が登場したのは1970年代の初頭でした。 イタリアではMVアグスタやモト・グッツィが1970年代半ばにキャストホイール車を発売しましたが、日本製のバイクで初めてキャストホイールを装備したのは、カワサキが1976年に輸出モデルで販売した「Z900LTD」でした。 この当時のキャストホイールは、どちらかと言うとドレスアップ用のカスタムパーツという立ち位置で、しかも重い上に、当時はまだバイク用のチューブレスタイヤが存在しなかったため、スポークホイール同様にタイヤチューブが必要でした。 そのため重量的にはスポークホイールの方が軽量で、国内では1978年からヤマハとスズキがキャストホイール車を発売しましたが、スポークホイール仕様と並売する車種もありました。