“テレビ東京のドラマが面白い”は本当か
『孤独のグルメ』をはじめ、近年、テレビ東京のドラマが面白いとの評判をネット上などで目にするようになった。企業のコンプライアンスをテーマに放送中の『ハラスメントゲーム』に主演する唐沢寿明も、「数年前から、テレビ東京の番組が面白いと思っていました」と同局サイトにコメントを寄せるほど。いったい何がどうして面白いのか。“ドラマのテレ東”と呼ばれる時代はくるのか。
経済番組や情報バラエティーにはもともと定評あるテレ東
「攻めていて、今、勢いがあるテレビ東京に目が行きますし、自分自身も攻めた事をやっていきたいと常に思っています」 唐沢のコメントの続きだ。攻めているからこそ勢いがある、と言い換えてもいいだろう。では、どのように攻めているのだろうか。 同局はバブル期からテレビ界では珍しかった本格的経済ニュース番組「WBS」(ワールドビジネスサテライト)をスタート、長年、経済に強いイメージがある。ネットの配信サービスにも、経済番組に特化した「テレビ東京ビジネスオンデマンド」をラインアップしている。 一方、情報バラエティー番組にも定評がある。街を徹底的に紹介する地域密着系都市型エンタテイメント『出没!アド街ック天国』や、視聴者のお宝を鑑定する『開運!なんでも鑑定団』など、長年続く人気番組をはじめ、『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』といった奇想天外な発想を具現化した番組もたびたび話題にのぼる。
『池の水』伊藤Pの企画書はいつも大ざっぱ?
筆者は以前、夕刊紙でさまざまな番組の作り手を取材したことがあったが、その中に“伊藤P”として親しまれるテレビ東京の伊藤隆行プロデューサーがいた。『池の水~』の少し前だったが、『モヤモヤさまぁ~ず2』『やりすぎコージー』などの野心的番組を手がけてきた敏腕プロデューサーとして、すでに有名だった。企画の秘訣について聞くと、番組の企画書はいつも大ざっぱとのことだった。 「あまり当てようとは思っていません。何となく面白そうな雰囲気で、企画が通る。万人に受けなくてもクスッと笑ってもらえる、ちょっと面白そうなのやってるねって感じてもらえる方向で発想します。幸いテレ東はつつましい局で、それができる」 と、楽しそうに話していた。そんなゆるいやりとりでも、「よく分からないけど、とりあえずやるか」というノリの良さがあるという。ドラマも、そういった土壌で作られているというわけだ。