企業Webサイトはオワコンなのか? これからの10年を予測
現在進行形で取り組んでいることは?
■ コーポレートサイトにおけるデザイン表現の拡充に取り組む富士フイルム 石井氏は、2020年に公式サイトのプラットフォームを統一したことについて、社内では「みんなで住む家ができた」と表現していると明かした。しかし、1つの家に住めるようになったことはファーストステップで、カーテンの柄を変えたい、エレベーターをつけてほしいなど、国内外の各事業部門からはさまざまな要望が出てきたという。ただ、100以上ものコーポレートサイトを共通プラットフォームで構築しているだけに、すべての要望をかなえることは難しい。 ┌────────── これをやればみんなに利益がある、みんなにとって必要なことだ、といった観点を大切にし、優先順位をつけながらデザインや機能の拡充をしているところです。新しく子会社ができたり、複数の子会社が合併したりすることもあるので、企業の変化に応じて、サイトを作ったり、統合したりということも発生します(石井氏) └────────── この話を受けて、長谷川氏は次のようにコメントした。 ┌────────── 富士フイルムの子会社の増減の対応の話は、まさに企業体は変化し続けるものであり、それにあわせてWebサイトも変化しなければいけないということを示しています。変化することが会社のあり方としてまっとうなので、Web担当者はその変化をあらかじめ織り込んでおくことが必要です(長谷川氏) └────────── ■ 「Webアクセシビリティ」対応強化に取り組むライオン
ライオンでは、2024年4月1日から改正される「障害者差別解消法」の環境整備にあたる「Webアクセシビリティ」対応強化に取り組んでいる。
┌────────── 見た目上ではわからなくても、Webアクセシビリティの試験を実施してみると不適合項目が多数指摘されています。ソースコードの不備があったり、音声で流すと二重に流れたりということもあり、膨大な作業量があるので、少しずつ改善しています。現在、Webアクセシビリティ対応方針の策定やガイドライン的なものを整備しているところです(長氏) └────────── Webアクセシビリティについては、国際規格や法令等の更新も随時行われており、継続的な取り組みになるので、コストなどリソースをどこまでかけるのかという問題も生じる。長氏は「Webアクセシビリティはインクルーシブの観点でも対応が必要であり、予算を確保して段階を踏んで対応していく」と語った。 Webアクセシビリティへの対応は、企業のWeb担当者にとって重要な課題だ。長谷川氏は次のように話す。 ┌────────── 法律ができることによって、これまで採算性がないと見逃されていた課題に対して、取り組む企業が増えました。Webアクセシビリティは、表面的な話ではなく、Webサイトのコミュニケーション全般のオペレーションの話にもなります。踏み込み具合は企業ごとの判断になりますが、自社がどういう方針で取り組むのかを意思決定して可視化することが求められます(長谷川氏) └──────────