企業Webサイトはオワコンなのか? これからの10年を予測
┌────────── ライオンは『より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)』というパーパス(存在意義)を掲げています。2022年6月にコーポレートサイトをパーパス起点でリニューアルし、Storyを語るだけでなく実践している状況を伝えるStory Doing型のサイトへ刷新しました。さらに、『LION Scope』という自社メディアで習慣を探求するインタビューやコラムを掲載しています。『ライオン公式note』も立ち上げ、習慣づくりや研究開発の裏側などを伝えながら、サイト訪問につなげています(長氏) └──────────
LION Scope、ライオン公式noteは商品を伝えるのではなく、生活者と共に良い習慣づくりを探求していこうという狙いで運営されている。 ■ 富士フイルムの場合
続いて、石井氏が富士フイルムのコーポレートサイトの歴史について振り返った。
1995年に本社にてコーポレートサイトを設立。それを皮切りに、国内外の関係会社がそれぞれコーポレートサイトを設立していったが、富士フイルムブランドとして一貫したイメージを訴求するため、2008年にワールドワイドでのデザイン統合を実施した。さらに2020年には、ガバナンス強化やコンテンツ拡充、マーケティング強化に向けて、ドメイン、CMS、インフラを統合し、すべてのコーポレートサイトが共通のプラットフォームで稼働するようにした。2023年春には、さらなるブランディング強化に向けて、再度ワールドワイドでの一斉デザインリニューアルを行っている。 ┌────────── 私たち富士フイルムグループは、ヘルスケアや半導体材料など、多方面でビジネスを展開しているため、2020年の統合では、全事業部にヒアリングを行い、コーポレートサイトへのニーズを把握するよう努めました。CMSを統一したことで国内外でコンテンツを共有できるようになったので、本社主導でのワールドワイド向けのコンテンツ作りが加速しました。海外のグループ会社は本社が制作したコンテンツを必要に応じて活用できるのでコンテンツ制作のコストやリソースを抑制できます(石井氏) └────────── ■ Webがメインストリームに 両者の取り組みを踏まえて、長谷川氏は次のように振り返った。 ┌────────── 企業がWebサイトを持ち始めた2000年の頃は、誰かがゲリラ的にアップしたものがマスターで、作った人以外にはバックアップがないという状態だということもありました。それが、内容のオーソライズを行うようになり、ブランディング、使い勝手、インフラの安定性などが重視されるようになりました。この20年の間にWebがメインストリームになったと感じます(長谷川氏) └────────── 長谷川氏のコメントに対し、石井氏は社内コミュニケーションを含めてWebの扱われ方が大きく変わったと話す。 ┌────────── 2020年の統合プロジェクトを実施する中で、関連部門との信頼関係が強まり、より密接にコミュニケーションがとれるようになったと実感しています。何か新しいことを行うときには、早い段階で相談が入るようになりました(石井氏) └────────── 長氏も、リニューアルを通して他部門の人とのコミュニケーションを深めたという。 ┌────────── 私が入社したのはコーポレートサイトのリニューアルのタイミングで、プロジェクトリーダーとして推進することになったのですが、当初は他部門で集まる会議体もありませんでした。そこで定期的な編集会議を設けるようにして、各カテゴリの担当者と新規ページ制作や既存の改修要望などを話し合ってプロジェクトを進めていくようにしました。今ではいろいろな部門とコミュニケーションが図れるようになっています(長氏) └──────────