「ゾンビ」と揶揄される比例復活 小選挙区との重複立候補対応から透ける各党の思惑
他党はどうか。立憲民主党は原則として比例重複を認めるが、野田佳彦代表ら一部の幹部は小選挙区単独とした。
共産党は田村智子委員長が比例東京ブロックで候補者名簿の1位になるなど比例単独候補を上位とし、その下に重複候補を登載しているケースもある。同党は「論戦力を評価し、候補を決めている」とした。
国民民主党は小選挙区の全候補者を比例重複とし、名簿順位も1位とした。れいわ新選組は「比例代表中心の選挙制度を目指し、原則は重複あり」とし、社民党は選挙区事情を考慮して決定。参政党は党内会議で重複候補を決めるとしている。
■目的は民意の反映
衆院選の比例代表で有権者は政党に投票する。候補者に投票する小選挙区では各小選挙区の最多得票者が当選するため、落選候補に投じられた票は「死票」と呼ばれる。民意をより反映させることを目的とし、少数政党も議席を獲得できるよう比例代表を組み合わせた経緯がある。
現行の小選挙区比例代表並立制は、政治改革の一環で平成8年の衆院選から実施された。定数の見直しが重ねられ、現在は小選挙区289、比例代表176の合計465の議席を争う。
比例代表では全国11のブロック別に各党の得票数に応じて議席が配分され、各党の候補者名簿の上位から当選者が決まる。複数の重複立候補者を同一順位にすることができ、小選挙区で敗れた場合は「惜敗率」(当選者の得票数を基準とした落選者の得票率)が高い順に復活当選する仕組みだ。ただ比例復活した議員は「ゾンビ議員」などと揶揄(やゆ)されてきた。
海外では、比例代表を柱として小選挙区と関連付けた「併用制」を採用する国もある。政党と小選挙区候補者に投票する点は並立制と同じだが、併用制では全議席を政党の得票率に応じて割り振り、小選挙区を勝ち抜いた候補者が当選者となる。各党の議席数は得票数に比例するため、民意をより正確に反映できるとされる。(沢田大典、山本考志)
■国民が納得する制度議論を