600点の貴重な標本や史上最大級の飛ぶ鳥も!国立科学博物館、初の特別展「鳥」開催
東京・上野の国立科学博物館にて現在、初の鳥類をテーマとした特別展「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」(~2025年2月24日)が開催中だ。 【写真】国内で絶滅した「ヒタタキ」や復活しつつある「トキ」「コウノトリ」など貴重な標本を展示 ゲノム解析による研究で明らかになった最新の系統分類を元に、鳥類特有の体の構造や生態を紹介しつつ、鳥たちの多種多様な進化を解説する同展。同館が所有する600点以上の貴重な剝製・骨格標本を最新の系統分類に従って展示し、鳥類の起源でもある恐竜から多様に進化した鳥類の魅力に迫る。
最大の見どころは600点以上という圧倒的なボリュームの標本が集結したこと。身近な鳥、絶滅した鳥、かわいい鳥、個性的な鳥など世界中の鳥たちの標本を展示し、同館の現生鳥類研究者と古生物研究者が連携して鳥類について徹底的に解説。国立科学博物館をはじめ、各博物館が所蔵するコレクションから、すでに絶滅してしまった種や絶滅危惧種の剝製、普段は公開していない貴重な標本などが展示される。
現在は絶滅した史上最大級の飛ぶ鳥「ペラゴルニス・サンデルシ」の生体復元モデルも日本初公開。バードウォッチャーでも、400種以上の鳥を観察したことがあるとかなりの経験者だと言われる中、同展では一生分の標本点数を見ることができる。 600点という標本点数について、同館動物研究部の西海功研究主幹は「筑波の収蔵庫には本剥製で3000点ほどの標本があるが、今回はすごく見栄えのいいものを中心に展示している。さらに鳥の博物館(我孫子市)や姫路科学館からいい標本をお借りしており、今までになかった規模の鳥の標本が展示できる展覧会が開催できたことで、バードウォッチャーの方たちにも楽しんで見ていただけるのではないか」とアピールする。
会場ではゲノム解析に基づいた最新の系統分類で鳥類の進化と多様化を紹介。さらに「絶滅」「翼」「猛禽」「ペンギン」「フウチョウ」の5つのテーマに沿った「特集」コーナーや、「カッコウの托卵で宿主は滅びないのか?」「ハトが教えてくれる鳥の “心”」「鳥にもある “方言” や “言葉”」など23のテーマで「鳥のひみつ」についても詳しく解説する。
西海研究主幹は、来場者に「鳥は花蜜食・種子食・昆虫食、さらに猛禽類は鳥類や哺乳類を食べ……と生態系のピラミッドの中で多様な役割を果たしている。花蜜食の鳥は花粉媒介に、種子や果実を食べる鳥は種子散布に関連し、キツツキは巣穴を掘ることで、ムササビやフクロウなど自分で巣穴を開けられない生き物が生息する場所も提供している。 近年数を減らしているものも多く、絶滅の危機に瀕している鳥も多くいる中で、今回の『鳥』展で鳥により一層なじんでいただき、鳥のことを知っていただくことが、地球環境を考えていくためにも非常に重要なことだ」と呼びかけている。