億ション購入で住宅「50年ローン」はアリなのか? FPに聞く老後破産しないコツ【試算付き】
都市部でのマンション価格の高騰が止まらない。東京23区における新築マンション価格は平均1億円を超え、住宅ローンが家計の重い負担となっている。月々の返済額を少しでも抑えるために利用されているのが、最長50年まで返済期間を延ばせる超長期ローンだ。 【シミュレーション】35年と50年ローン、返済総額これだけ違う! * * * ■1億円の物件を50年ローンで買うパワーカップル 最長50年の住宅ローンを契約する人がじわり、増えてきている。 ファイナンシャルプランナー(FP)で、宅建士の資格も持つ水野崇氏によると、超長期ローンのターゲットは若者で、主に新築マンションを購入する際の借入金に使われているという。ターゲットが限定される理由は、住宅ローンの完済時年齢は一般に80歳未満とされていることから、返済期間を50年に設定するなら30歳までに契約する必要があるためだ。 主に新築物件での用途なのは、マンションの耐用年数の事情があるからだ。鉄筋コンクリート造マンションの法定耐用年数は47年。耐用年数を超えたマンションは担保価値が下がり、ローン審査が厳しくなるので、基本的には新築物件でしか50年の超長期ローンは組めない。 住宅ローンの借り入れ限度額は年収の7倍が妥当とされる。この計算だと、都市部にある1億円のマンションの購入に必要な年収は1400万円。夫婦それぞれが1つの物件に対してローンを組む「ペアローン」にするとして、1人あたりの年収は700万円以上が、物件に手が届くラインといえそうだ。 ■不動産の価格は二極化 「資産価値のある物件を求めるパワーカップルが、従来の住宅ローンでは月々の返済額が多すぎるので、超長期ローンに手を出しているというケースが増えているようです。不動産の価値は今後、二極化が進むと予想されており、いい物件を選べば資産価値の向上が期待できます」(水野さん) ちなみに、ここ数年、住宅ローンの金利上昇が、長期ローンの契約における不安材料とされている。住宅ローンは変動金利での契約が一般的だが、水野さんによると、返済中に金利が上昇したとしても5年間は毎月の返済額が変わらず、返済額を従来より125%までしか上げられない「5年ルール」があるので、「未払利息の発生リスクはあるが、そこまでおびえる必要はない」とのことだ。