被害者は「泣き寝入り…」治療費は“自己負担”自転車ひき逃げ事故でけがしても保障はなし?#みんなのギモン
増加傾向にある自転車と歩行者の事故。「ながら運転」の罰則強化や「青切符」の導入など取り締まりが強化される一方、事故の被害弁償の対策は十分とはいえません。私たちのもとに、ひき逃げ事故の被害者から「保障がなく治療費は自己負担で泣き寝入り」との訴えの声が寄せられました。 被害者のための救済制度とは?(日本テレビ報道局 調査報道班)
■「泣き寝入り・・・」治療費は被害者負担
横浜市の50代女性は、11月、自宅近くで青信号の横断歩道を渡り始めた直後、車道を信号無視で直進してきた自転車と接触し、ぶつかった右手首あたりから出血するなどのけがをしたといいます。 「ぶつかる直前に自転車に乗っていた人の悲鳴が聞こえたので立ち止まりました。悲鳴が聞こえず歩き続けていたら、まともに衝突して死んでいたかもしれません。そのことを考えるととても怖いです」 女性にぶつかってきた自転車は、救護や通報などの事故対応をすることなく、女性の呼び止めにも応じずにその場から立ち去ったといいます。その後、女性自ら通報し、現在、警察が過失傷害容疑で捜査しています。 「1か月経過した今も、首や腕などに痛みやしびれを感じて病院に通っています。自転車は軽車両なのに、ひき逃げ事故に対する補償がなく治療費は自己負担で泣き寝入りです。車と同じように自転車のひき逃げに対しても法整備をしてもらいたいです」
■年々増加する自転車と歩行者の事故
警察庁によると、2023年に自転車が関係する事故はおよそ72000件起きていて、交通事故全体の2割を占めています。 そのうち、自転車と歩行者の事故は、およそ3200件で増加傾向にあり、2019年から2023年の5年間で、歩行者が重傷だった事故は1580件、歩行者が死亡する事故も16件起きています。
■自転車が事故を起こした場合に負う責任は
自転車は道路交通法で「軽車両」に位置づけられていて、事故を起こした場合は、けが人の救護や警察に通報する義務を負っています。 救護義務に違反した場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、通報義務に違反した場合は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。 警察庁によると、歩行者を救護せずに立ち去った自転車のひき逃げ事故では、去年までの5年間でおよそ380件が検挙されています。また、事故の状況や結果次第では、過失傷害罪や過失致死罪、重過失致死傷罪に問われる可能性があります。