能登復興への祈りを、東京の美術館・博物館が文化財に託す。「ひと、能登、アート。」が石川県内の3館で今秋開催
被災地への想いを文化財がつなぐ
2024年に発生した能登半島地震、奥能登豪雨の被災地へ、文化財による復興支援の想いを届ける事業「ひと、能登、アート。」が、2025年秋に石川県内の3つの美術館で開催される。 2024年1月に起きた能登半島地震から、この年初で1年を迎えた。昨年9月には、奥能登地域において豪雨災害が発生し、石川県では2度の災害によって大きな被害を受けた。 「ひと、能登、アート。」は、被災した人々に寄り添い、心を癒し励ますため、東京国立博物館が中心となって東京の各文化施設に呼びかけを行い、所蔵する文化財に復興への祈りを込めたメッセージを託すというもの。事業趣旨に賛同する東京所在の美術館・博物館が復興支援の想いを込めて自ら文化財を選び、それらの作品を展示する展覧会を2025年秋に石川県金沢市内の各施設で行う。 会場となるのは、石川県立美術館(11月15日~12月21日)、金沢21世紀美術館(12月13日~2026年3月1日)、国立工芸館(12月9日~2026年3月1日)。石川県立美術館には黒田清輝、菱川師宣、高村光雲らの作品、金沢21世紀美術館には横尾忠則の「寒山拾得」シリーズの作品、国立工芸館には重要文化財《色絵月梅図茶壺》などが出品される。 さらに、能登に生まれた長谷川等伯の国宝《松林図屛風》を題材とした映像コンテンツ事業や、高精細複製品を用いた教育普及事業も石川県内で開催される予定だ。 自然災害の絶えない日本において長く守り伝えられてきた文化財の数々は、時に安らぎを求める人々の強い祈りが込められてきた。「ひと、能登、アート。」では、そうした想いの詰まった文化財を、被災者への励ましのメッセージとすることを目指すという。
Art Beat News