「私に期待していることは何ですか?」を超えて――キャリア自律するための問いの立て方
いうほど簡単ではないキャリア自律
とはいえ、「キャリア自律しよう!」「主体的に考えよう!」と言うのは簡単ですが、実際にそれを実行するのは非常に難しいものです。 ボク自身はいま、自分で法人を経営しながら、企業にも所属するなど、比較的自律した働き方をしているタイプだと思いますが、会社を辞めたのはエンジニア時代です。当時「技術さえあれば何とかなる」と思っていましたが、正直甘かったです。「顧客と出会い」「信頼され」「仕事につなげていく」その道のりは、決して容易ではありませんでした。 自身の経験からも、いきなり、キャリアをパツンと切って次の道に歩もうとするよりも、いまの仕事や生活を維持しながら、少しずつ、少しずつ未来を描き、新たなキャリアを築く準備を進めていった方がいいのではないか? そちらの方が、安心して行動できるのではないかと思います。
最初に行うべきなのは「マインドを変える」こと
では、キャリア自律をするために、最初に行うべきことは何なのか? それは「マインドを変える」ことではないかと思っています。 実は先日、キャリア自律について深く考える出来事がありました。ある企業で、従業員のキャリア自律を促すために、社内で起こっている課題を考え、それを解決するための新たな企画を立てるプロジェクトを進めています。その中で、ボクはメンターの役割を果たしていました。その中で、参加者の一人から次のような質問を受けました。 「私に期待していることは何ですか?」 この問いに、ボクは非常にモヤモヤした感覚を覚えました。「私に期待していることは何ですか?」ですって!? キャリア自律というプロジェクトの目的を鑑みると、目の前の課題に対して、いま何をすべきかを「自ら」考え行動することが、参加者に求められていることは明白です。 とはいえ、急に「社内の課題を解決するための新たな企画を立てよう」と言われても、何をしたらいいのか分からない場合もあるでしょうし、期待されていることを把握できないと行動的になれない場合もあるでしょう。ひょっとしたら、何ができるか自信が持てない不安から、発せられた言葉かもしれません。 ですが、自ら考えることなしに「私に期待していることは何ですか?」と、つい、受け身な質問をしてしまう。これは問題だと思いました。 いずれにせよ、キャリア自律をするためには、まずは、マインドセットから変えていく必要がありそうです。