にぎり寿司の原型であり世界が認めた伝統の発酵食「鯖のなれずし」のお味とは?
イタリアの記者の訪問をきっかけに「味の箱舟」に登録!
そして転機となったのが、平成19年。小浜市が発信したなれずしの情報を、イタリアの女性記者が目に留め、遥々森下さんの民宿までやってきました。 「その記者さん、おいしい、おいしい、言うて。どないして、こうなるんや、言うて。冷凍したなれずしをイタリアに持って帰ったんや」 イタリアはスローフード運動の一環として伝統的な食を保護・普及する国際的なプロジェクト「味の箱舟」の拠点。記者はその会長になれずしを食べてもらったそう。すると、森下さんいわく「会長も、もうワンダフル! と驚いたそうや」。 そして、田烏の鯖のなれずしは、めでたく「味の箱舟」に登録されました。 鯖のなれずしは、たくさんの手間と時間をかけて発酵と熟成をくりかえします。まさに手塩にかけて、育てる感覚。そして作る工程には、先人たちの知恵が詰まっています。興味がある方は、「年間民宿 佐助」へ。森下さんが紙芝居スタイルで解説してくれます。 で、気になるのは、お味。食べ方は2センチ幅くらいにスライスして、そのままで。あるいはスライスしたなれずしをアルミホイルにのせてトースターなどであぶって食べる。 そのままで食すと、米のまろやかな甘みが口いっぱいに広がります。後味はカラスミのような、まったり感。あぶってみると、米の表面がカリッ、中はとろけてクリーミー。鯖の脂も加わって、甘みが倍増します。どちらも、酒の肴に最高! 古来、神や天皇に捧げる食べ物を供した「御食国(みけつのくに)」であった若狭。小浜で伝統の食を味わう旅はいかがでしょう? 小浜 ●アクセス 北陸新幹線で敦賀駅まで、東京からは約3時間20分。敦賀駅から小浜駅までJR小浜線で約1時間 取材協力 若狭おばま観光協会 おすすめステイ先 年間民宿 佐助 古関千恵子(こせき ちえこ) リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。 ●Instagram
古関 千恵子