公務員が副業で農業を支援、和歌山のミカン・山形のサクランボなど…人口減や農家の高齢化を背景に
先行して取り組んできたのが全国一のサクランボ生産量を誇る山形県で、22年6月に県職員の収穫作業の副業を促そうと、「やまがたチェリサポ職員制度」を導入。支援を希望する農家を探すアプリなども活用し、収穫・出荷のピークとなる5~7月に人手を集めている。同県では、東根市や天童市、寒河江市など8市町がサクランボの収穫の副業を認めている。
イチゴの生産が盛んな栃木県でも、鹿沼市が23年4月、イチゴの収穫の副業を解禁した。
福知山公立大の杉岡秀紀准教授(地方自治)は「国の副業推進を利用した取り組みで一定の意義はある」と評価。一方で「抜本的な解決策にはならないので、農業に関連する部局職員の研修に位置づけて、政策立案につなげるなど、より工夫する余地があるのではないか」と話す。
繁忙期には人手の「リレー」
農業の担い手不足を解消するため、繁忙期が異なる産地から産地へと人手を「リレー」する試みもある。
キャベツの産地として知られる群馬県嬬恋村の「嬬恋キャベツ振興事業協同組合」では、キャベツの栽培に従事する外国人の特定技能実習生らを、繁忙期が終わる10月下旬以降、各地に派遣している。
宮崎、富山、和歌山各県の農業関係団体と連携し、宮崎では白菜、ホウレンソウなど、富山では干し柿、和歌山ではミカンの作業に従事。日本語がある程度わかる上、農作業に慣れているというメリットがある。
同組合の担当者は「特定技能実習生は最長5年間、日本に滞在でき、仕事を覚えてくれる。同じ農家で毎年働けば、作業効率も向上し、農家にも外国人にも意義がある」と話す。