「~してあげる」4歳娘の発した言葉から感じた日本の大問題 日本の福祉にも刻まれた「上下関係」への違和感
お金を貯め、サービスを買うことで保たれる自尊心がある。でも、お互いが「共にある」なかで、頼り合い、満たし合う社会が生まれれば、私たちは、お金ごときで、誰かに支配されなくてすむ。お金が少なくとも、安心して生きていける世の中になるのだから。 ■「共在感」でいっぱいの社会を作るために必要なこと 高齢者への仲間入りがそう遠くない、私自身のためだけではなく、子どもたちもまた、誰かと「共にある」ことの喜びのなかで生きていってほしい。
もちろんそんな社会を作ることは簡単じゃない。でも、大事な人のそばにいて、じっと相手の思いに耳を傾けられる人間にならなることはできる。自分の子どもだけでなく、仲間に、若者に。そんな大人がどんどん増えていけば、世の中もきっと変わっていくに違いない。 <共在感>でいっぱいの社会。私の夢見る社会は、私の日常のなかで、私自身が親として、人間としてどう生きるか、という問いと地続きになっている。
井手 英策 :慶應義塾大学経済学部教授