4回TKO勝ちした渡来美響

プロボクシングの日本スーパーライト級最強挑戦者決定戦8回戦が26日、東京・後楽園ホールで行われた。同級2位の渡来美響（25）＝三迫＝が、同級1位の関根幸太朗（26）＝ワタナベ＝に4回1分49秒TKO勝ち。王者の李健太（ごんて、28）＝帝拳＝への挑戦権を獲得した。 注目の無敗ホープ同士の対決は技巧派の渡来が圧勝した。強打者の関根を高い守備力で完封。4回のラッシュでレフェリーが試合を止めると、感情を爆発させた。 「自分のことを信じて、倒して勝てた。想定通りにいった試合。ほとんど打たれることなく終われたので、そこが一番かなと思います」 1回から左ジャブ、左フックなどを思い通りに当て、抜群の距離感とボディーワークで被弾を回避。4回にロープ際で回り込んで右ストレートをクリーンヒットすると、左目を負傷した関根が後退。ラッシュをかけ続けて試合を終わらせた。 東洋大出身の渡来は2015年国体準優勝、19年国体3位で、アマチュア92戦77勝（19RSC）15敗の実績を持つ。憧れの元世界5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー（米国）と同じ、L字ガードを駆使して、打たせずに打つスタイルをアマチュア時代から貫いてきた。2022年4月にスーパーライト級6回戦でプロデビュー。これでプロ6戦6勝（4KO）とした。 昨年10月中旬から約5週間、米国合宿を敢行。最初の2週間は米カリフォルニア州ロサンゼルスで、元IBF世界同級王者のセルゲイ・リピネッツ（カザフスタン）らとスパーリングした。11月に入ってから米ネバダ州ラスベガスに移動。「メイウェザー・ボクシング・クラブ」でメイウェザーの叔父と幼なじみで、メイウェザーをずっと間近で見ていたドン・ハウス・トレーナーに約3週間師事した。 今夏には2度目のラスベガス合宿を実施。7月中旬から8月の約1カ月、ハウス・トレーナーに再び師事し、メイウェザー・プロモーションと契約する18歳の新星、カーメル・モートン（米国）と3度スパーリングで拳を交えるなどした。米国合宿でより攻撃的な姿勢を学んだという。「（レフェリーが試合を）止める瞬間まで打ち続けられたっていうのが、今までとちょっと違う、成長した点かなと思います。今までだったらそこで深追いしないで、判定でも勝てればいいっていう守り重視な勝負の仕方をしていた。より（攻守の）バランスが良くなったと思っています」。 これで3戦連続で無敗の相手を撃破。王者の李もプロ9戦8勝（2KO）1分けと無敗で、「また黒星をつけてやろうと思います」と言い放った。「世界タイトルを取るためにプロになっている。あくまで日本タイトルっていうのは必須の通過条件だと思っている。次の試合でも世界にいける選手だと証明していく。一試合一試合が世界につながる道だと思っているので、今回の試合同様、差を見せつけて勝つことで、周りの皆さんが『渡来は世界に行くべきだよね』って言ってくださると思うので、そういうところを目指してやっていきたいと思っています」と真剣な目で語った。