日中韓首脳会談、19年以来の開催へ-日中・日韓が2国間会談
(ブルームバーグ): 日本と中国、韓国は2019年以来となる3カ国首脳会談を韓国で開く。ソウルに到着した岸田文雄首相は26日、3カ国首脳会談に先立ち、同国の尹錫悦大統領、中国の李強首相と個別に会談した。
日韓首脳会談では、首脳間のシャトル外交継続や、北朝鮮への対応で「日韓、日韓米で一層に連携していく」ことで一致したと岸田首相が会談終了後、記者団に語った。経済面でも協力が強化されていることを歓迎し、水素やアンモニアなどエネルギー面での協力も加速するという。
一方、日中首脳会談で岸田首相は、中国による日本周辺での軍事活動の活発化について「深刻な懸念」を改めて表明したほか、台湾についても最近の軍事情勢を含む動向を注視していると伝えたという。
また、東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出に中国が反発している問題については事務レベルで協議を加速させていくことで一致。岸田首相は中国による日本産食品の輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。李首相は、日本に福島第1原発からの「核汚染水」に対する責任と義務を真摯(しんし)に果たすよう求めたと国営新華社通信は報じた。
尹大統領と李首相も個別に会談を行った。中国は韓国に対し、安定的なサプライチェーン(供給網)の維持を求めた。新華社によると、李首相はサムスン電子を含む韓国企業の対中投資拡大を歓迎すると語ったという。
同日に3首脳は夕食会を行った。正式な3カ国首脳会談は27日に開催される。
日中韓首脳会談は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)や政治的な問題で、5年近く開催が見送られていた。日中韓は世界の国内総生産(GDP)の約4分の1を占めている。
尹大統領が約2年前に就任して以降、韓国は数年にわたり緊張関係にあった日本との関係を改善。両国は共通の同盟国である米国との安保協力を強化する一方、バイデン米政権は先端半導体やこうした半導体製造で必要となる最新装置へのアクセスを中国に認めない取り組みに加わるよう働きかけている。