「交通空白」解消へ「ライドシェア」導入の自治体に3年間「集中」支援…国土交通省
公共交通機関を利用しにくい「交通空白」の解消を図るため、国土交通省は、個人が自家用車に客を乗せる「ライドシェア」の仕組みを導入する自治体への財政補助などの支援策を強化する。計画の策定や運行管理などに必要なシステムの導入までを一貫して補助し、全国の自治体で移動の足が確保されるよう、取り組みを急ぐ考えだ。(鈴木瑠偉) 【イラスト】一目で分かる…日本に今あるライドシェア一覧
自治体間で導入の成功事例を共有
国交省は、タクシーが30分以内に配車されないなど、移動手段の確保が難しい地域を交通空白地域と位置付けて解消を目指している。2025年度からの3年間を交通空白地域の解消に向けた対策期間として集中的な支援を行う方針で、11日の「交通空白解消本部」(本部長・中野国土交通相)で内容を説明する。
国交省が来月以降、全国の自治体を対象に調査を始め、自治体ごとに「高齢者が病院に通いにくい」「学生の通学が難しくなっている」などの課題を洗い出す。官民組織「交通空白解消・官民連携プラットフォーム」を通し、企業が持つ技術や施設も有効活用し、自治体のライドシェアの導入を後押しする。
ライドシェアは12月時点で、全都道府県で各1か所以上導入され、政府目標を達成した。今後、自治体間での導入の成功事例の共有なども進める計画だ。
「2種免許」の取得不要に
ライドシェアはバスや鉄道などと比べ、導入初期にかかるコストが比較的低いのが特徴だ。ドライバーがタクシー運転手に必要な「2種免許」を取得する必要もない。国も交通空白地域の解消のための切り札として期待をかけている。
ライドシェアには、今年4月に始まったタクシー会社を主体として東京都内や京都市など大都市から導入が始まった「日本版ライドシェア」と、市区町村などが主体となる「公共ライドシェア」がある。タクシー会社の経営規模が小さいことも多い交通空白地域では、公共ライドシェアの利用が広がっている。
公共ライドシェアは、これまでに全国600超の市区町村で導入されたが、「運行実績が少ない」「限られた地域のみで運行されている」といった課題も多い。また、人口減少でドライバーを確保するのに苦労する地域も出ている。