再結成ライブは昔にタイムスリップしたみたいだった――成田昭次が仲間たちと実現させた「男闘呼組」復活
料理の修業はしんどかったけれど音楽にも反映できた
もう音楽の世界には戻らないと決めていた。けれどもある日、岡本から「会わせたい人がいるから一度東京に来て」と言われ、1年ぶりに上京。そこで紹介されたのが、MISIAが所属する芸能事務所・リズメディアの社長、プロデューサーの谷川寛人だった。 「寛人くんに会ったのは20年の9月。初対面にもかかわらず、3人で10時間近く話しました。最終的に僕も『わかりました』と。僕は健一の熱意に、いい意味で負けたのかもしれません」
とはいえ、いきなり音楽一本で食べていくのは難しい。成田は上京し、リズメディアが経営する飲食店の厨房に立つことになった。料理経験はほとんどなく、ろくに包丁も使えない。でも、やると決めた以上、一から覚えるしかないと腹をくくった。 「寛人くんは、飲食店の仕事と音楽活動を僕に両立させるようにして、夢に向かって歩ませてくれようとしたんです。ただ、正直、料理の修業はかなりしんどくて。でも、そのおかげで料理も上達して、スタッフのまかないご飯を作ったり、自宅で母親に料理をふるまったりできるようになったし、好評でした。そういう苦労が身になって、良い楽曲を作れるようになりました」 初のステージは、2020年11月に行われたリトルブラックドレスのライブ。ゲストギタリストを務めた。 「健一も見にきてくれて、あれこれダメ出しをされました(笑)。その後もリトルブラックドレスのライブに出演させていただいて。すべてがリハビリになりましたね」
再結成は反響の大きさに驚いた
男闘呼組の再結成には、大きな課題があった。グループ名の権利は、当然ジャニーズ事務所が所有している。しかも、現在ジャニーズ事務所に籍を置いているのは、エージェント契約の岡本だけなのだ。 それでも、ジャニーズ事務所は、岡本からメンバーの思いを聞き、グループ名の使用を許可した。まさに異例の判断だ。こうして男闘呼組は奇跡の再結成を果たしたのだった。 2022年7月16日、男闘呼組はTBSの音楽番組「音楽の日2022」で29年ぶりに復活。『TIME ZONE』『DAYBREAK』、そして成田昭次のソロ曲『パズル』を披露した。 「直前まで告知していなかったにもかかわらず、反響の大きさに驚きました。でも、番組での演奏もそこまでの長いリハビリがなかったら成立しなかった。段階を踏んだからこそ、なんとか形になったのだと思います」 10月には東京・有明の東京ガーデンシアターで、復活後初となるライブ『男闘呼組1988』を開催。 「会場を見渡したらものすごい景色で、昔にタイムスリップしたみたいでした。何より30年近く、あんなにもたくさんの人が待っていてくれたことを知って……そこに一番グッときましたね。……今も思い出すと泣けてきます。ありがたくて、うれしくて、僕以外の3人も誇りに感じていたと思います」 ジャニーズ時代の仲間や後輩の姿もあった。 「『音楽の日2022』の収録時には、中居(正広)くんが来てくれて。彼はいつもお花を贈ってくれたり、心配してメールをくれたり、本当に気配りの人なんです。(木村)拓哉くんも全然変わってなかったな」